2023年01月18日 16:00 〜 17:00 10階ホール
ウクライナ識者グループ 会見

会見メモ

日本の政府関係者、識者らとの意見交換のために来日したウクライナの市民社会のリーダー・専門家5人が、ウクライナの現状や日本への期待などについて話した。

登壇者紹介

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 大野理恵(サイマル・インターナショナル)

 

左から

レオ・リトラさん

オレーナ・ハルシュカさん

ハンナ・ホプコーさん

アリョーナ・ゲトマンチュクさん

マリーア・クリンナさん


会見リポート

「核は当たり前」に危機感

石井 将勝 (時事通信社外信部)

 「ロシアによる核の威嚇を抑え込むことの重要性を最もよく理解できるのは日本だ」―。ロシアの侵攻が続く中、来日したウクライナの識者グループは「多くの国が自国を守るため核が必要と考え、5年後、10年後はもはや核が当たり前になってしまうかもしれない」と強い危機感を表明した。こうしたウクライナの人々の思いを唯一の戦争被爆国であり、原発事故も経験した日本が共有できているかを問い掛けられた会見でもあった。

 グループは市民社会のリーダーや専門家ら5人。ロシアはウクライナのエネルギー関連施設を標的にしたミサイル攻撃をやめず、グループの一人、アリョーナ・ゲトマンチュク氏は「電力だけではなく、何もかもが足りない。生活は非常に不便で苦しく耐えがたい」「わが国民は殺りく、拷問などの残虐行為に苦しんでいる」と過酷な状況を訴えた。グループは今年の先進7カ国(G7)の議長国として、5月に広島市でサミットを開く日本のリーダーシップに強く期待。来日中は政界や研究機関、産業界などの関係者と会合を重ね、広島市も訪問したという。

 別のメンバーのオレーナ・ハルシュカ氏は、広島サミットでは「ロシアに対し、核使用は『越えてはならない一線』という明白なメッセージ」を出すよう要望。「ルールに基づいた秩序や将来の核不拡散を守るため、核使用はあってはならず、重要エネルギー施設を攻撃してはならないことを国際社会は強く伝えなければならない」と強調した。

 会見ではメンバーから、日本政府の招待によってウクライナのゼレンスキー大統領が来日し、広島サミットに対面参加することへの期待も示された。「核なき世界」実現をライフワークとする岸田文雄首相がサミットで国際社会に強いメッセージを発信できるか。その手腕が問われている。


ゲスト / Guest

  • ハンナ・ホプコー / Hanna Hopko

    ウクライナ / Ukraine

    ウクライナ勝利のための国際センター共同設立者 / a member of Ukrainian Delegation / Chairwoman of "Democracy in Action Conference"

  • アリョーナ・ゲトマンチュク / Alyona Getmanchuk

    ウクライナ / Ukraine

    新欧州センター設立者兼代表 / founder and director of "the New Europe Center"

  • オレーナ・ハルシュカ / Olena Halushka

    ウクライナ / Ukraine

    ウクライナ勝利のための国際センター共同設立者 / a member of Ukrainian Delegation

  • マリーア・クリンナ / Mariia Kurinna

    ウクライナ / Ukraine

    人権問題専門家 / a member of Ukrainian Delegation

  • レオ・リトラ / Leo Litra

    ウクライナ / Ukraine

    新欧州センター上席研究員 / senior fellow of "the New Europe Center"

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