2022年10月07日 16:00 〜 17:00 10階ホール
ジャン=エリック・パケ(Jean-Eric PAQUET)次期駐日欧州連合大使 会見

会見メモ

ジャン=エリック・パケ次期欧州連合(EU)大使が、自身が描く日・EU関係の展望、在任中に特に力を入れたい分野などについて概説した。

 

司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 戸出泰介 駐日欧州連合代表部

 


会見リポート

対中国も日本と緊密に連携

二村 伸 (NHK専門解説委員)

 「ロシアの残忍な侵略と偽りの住民投票に対抗するため日本と連携して立ち向かう」。フランス出身の外交官として初めて駐日EU大使に指名されたパケ氏は日本との関係強化に強い意欲を示した。

 3月と6月に欧州を訪問した岸田首相がミシェル欧州理事会議長(EU大統領)と会談、9月にはミシェル議長が安倍元首相の国葬出席のため訪日して岸田首相と首脳会談を行うなど「日EU関係が今ほど強固だったことはなかった」とパケ次期大使は述べ、民主主義が専制主義に勝利するためにも日EUの連携が必要だと強調した。さらに台湾海峡と南シナ海の緊張の高まりや北朝鮮の度重なるミサイル発射を受けて、「欧州とインド太平洋地域の安全保障は不可分だ」とする日本の立場に同調し、「安全保障上の様々な課題にEUは日本と協力して立ち向かう」と述べた。

 EUは去年「インド太平洋に関する協力戦略」を発表した。中国に厳しい姿勢に転じた一方で依然最大の貿易パートナーでもある。「中国はライバルであり経済では競合相手、そしてパートナーでもある。『1つの中国』政策を堅持すると同時に台湾との協力関係も継続させる」とEUの立場を示し、対中関係でも日本との緊密な連携の必要性を強調した。

 日本とEUの協力は経済や新型コロナ対策、気候変動、エネルギーなど様々な分野におよぶ。次期大使は日本・EU経済連携協定の締結により世界のGDPの20%を占める自由経済圏が誕生し、成果を上げていると評価した。さらにEUの研究・イノベーション総局長としてEUの研究助成プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」を推進してきた立場から、「EUだけでなく価値観を共有する日本などにも門戸が開かれ、EUと同等の立場で研究に参加できるようになった」として日本の準参加を求めた。世界の分断が深まる中でパケ次期大使が述べたように日EU関係の重要性が今後高まるだろう。


ゲスト / Guest

  • ジャン=エリック・パケ / Jean-Eric PAQUET

    欧州連合 / European Union

    次期駐日欧州連合代表部代表・大使 / Ambassador-designate of the European Union to Japan, Head of the Delegation

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