2022年08月25日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「アフリカ開発の現場からーTICAD8を前に」(4) 遠藤貢・東京大学大学院教授

会見メモ

8月27日からチュニジアでTICAD8が開催されるのを前に、アフリカの現代政治を専門とする遠藤貢・東京大学大学院教授が登壇。

TICADの変遷を振り返るとともに、アフリカを巡る米中欧露など世界各国の動き、その中で日本が果たしうる役割などについて話した。

 

司会 出川恒久 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

 


会見リポート

軍事協力 ロシアの存在感

竹内 幸史 (朝日新聞出身)

 日本政府の主導で第8回アフリカ開発会議(TICAD8)が8月末、チュニジアで開催された。現代アフリカ政治を専門とする遠藤貢教授は、1993年の最初のTICADからフォローしている「生き字引」だ。シリーズ会見の最終回で、「アフリカをめぐり競合する世界と日本」について報告した。

 最も印象的だったのは、アフリカにおけるロシアの影響力拡大だ。ロシア政府は第1回アフリカサミットを2019年10月にソチで開催し、首脳級43人が出席した。日本が第7回TICADを横浜で開いた2カ月後のことだ。アフリカでは中国も「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」開催を続け、一帯一路によるインフラ建設などで影響力を拡大している。対照的に、ロシアは軍事協力で不気味な存在感を増している。アフリカの多くの国と軍事協定を結び、アフリカ諸国の武器輸入の約半分はロシア製というのが実情だ。ロシアの民間軍事会社ワグネルが戦闘員を派遣している国も多く、リビアではワグネルの派遣によって対岸の欧州諸国に圧力を与える効果もあるという。

 「アフリカは資源が豊富だが、ガバナンスが弱く、欧州は植民地支配の歴史を抱えている。その一方、アフリカは国連で多くの票があり、ロシアにとっては限られたコストで国益を追求できる魅力的な場所だ」と、遠藤教授は米国識者の見方を紹介しながら指摘した。ウクライナ侵攻をめぐる国連の対ロシア非難決議で、アフリカ諸国から多くの反対票や棄権票が生じるのも、こんな背景がある。

 日本も30年近く前にTICADを始めた背景には、冷戦構造の終焉、日本の政府開発援助(ODA)の拡大傾向に加え、国連常任理事国への思惑もあり、「アフリカ票」を期待した面は否定できない。今、中国、ロシア、米国など主要国がアフリカでせめぎ合う中、日本の立ち位置を見つめ直す重要な時期にあることを感じた。


ゲスト / Guest

  • 遠藤貢 / ENDO Mitsugi

    日本 / Japan

    東京大学大学院総合文化研究科 / professor, graduate school of arts and sciences, university of Tokyo

研究テーマ:アフリカ開発の現場からーTICAD8を前に

研究会回数:4

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