2022年07月15日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「2022参院選:世論調査が語る民意」 松本正生・埼玉大学名誉教授

会見メモ

世論調査、選挙分析の第一人者である松本正生・埼玉大学名誉教授が参院選の結果を分析した。

 

司会 川戸惠子 日本記者クラブ企画委員(TBS)


会見リポート

岸田内閣、「若低老高」へ反転

古賀 攻 (毎日新聞社専門編集委員)

 大型選挙の後は松本先生にデータ解析をお願いするのが、当クラブの恒例になっている。

 参院選はほぼマスコミ各社の情勢調査通りに、自民党の大勝、日本維新の会の伸長、立憲民主党の不振という結果になった。参政党の議席獲得もおおむね捕捉できていた。

 会見で最も印象深かったのは、選挙そのものよりも、岸田文雄内閣の支持構造が徐々に変化して、先行する安倍・菅内閣とはまったく異なるものになっているとの指摘だった。

 それは内閣支持率を年代別に分析することで明らかになる。

 安倍・菅内閣は30代までの若年層の支持率が比較的高く、60代以上の高齢層は低くなる「若高老低」型だった。折れ線グラフにすると右肩下がりになる。内閣支持率が上下してもその形状は変わらなかった。

 昨年10月発足の岸田内閣も当初は「若高老低」型を引き継いでいた。ところが、年末から年初にかけて折れ線の傾きが緩くなり、今年4月になると右肩上がり、すなわち「若低老高」型へときれいに反転した。

 同じ自民党政権でも、安倍・菅内閣と岸田内閣では支持する世代が入れ替わったことになる。その理由はどこにあるのか。

 松本先生は「統計データになぜを求めるのは御法度」と断りつつ、安倍内閣の「桜を見る会」問題などに高齢層ほど敏感に反応する傾向があったことを踏まえると、岸田首相本人のスキャンダル・フリー(今のところ)が高齢層の安定的な支持につながっているのではと推測する。

 先生はかつて自民党の「加齢効果」(年を取るほど保守的になって自民支持が増える傾向)が21世紀に衰退したデータ分析で注目された。岸田内閣の「若低老高」はその復活なのかと問うと、「終身雇用制が前提だった時代の政治意識に回帰したとは見ていない」との答えだった。


ゲスト / Guest

  • 松本正生 / Masao MATSUMOTO

    埼玉大学名誉教授/社会調査研究センター代表取締役社長

研究テーマ:2022参院選:世論調査が語る民意

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