2022年01月13日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「バイデンのアメリカ」(14) 政権1年目を終える評価と展望 秋元諭宏・笹川財団米国会長兼理事長

会見メモ

一時帰国中の秋元諭宏・米国笹川平和財団理事長がバイデン政権の発足からの1年を評価するとともに、今後の課題について話した。 

秋元さんはハーバード大で博士号を取得後、米国三菱商事上級副社長・ワシントン事務所長としてワシントンでの政策分析・政府関係を長く担当してきた。2019年1月に米国笹川平和財団理事長に就任し、同年10月から会長を兼務している。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

米国内に閉塞感/バイデン政権のレームダック化進むか

大内 佐紀 (企画委員 読売新聞社調査研究本部主任研究員)

 法治国家としての根幹が揺らぎ、建国以来の危機に直面している――。バイデン政権発足から1年目の米国を、ワシントンから一時帰国中の秋元氏はこう、評した。町全体に、かつて見られなかった閉塞感も漂っているという。

 米国の再生と団結を掲げたバイデン大統領だが、分断は癒えるどころか、むしろ激化している。民主党と共和党は角を突き合わせ、民主党内を見れば、急伸左派が勢いを増し、中道派との確執が深まる。

 国民の間には、バイデン氏の政策遂行能力への疑念がじわじわと広がる。内政ではインフレ対策もコロナ対策もふるわない。外交ではベテランの側近に助けられてはいるものの、中露などは、バイデン氏を脆弱とみなせば冒険主義的な挑発に出かねない。

 では、11月の中間選挙はどうなるか。秋元氏は「下院は共和党が奪還する可能性がある。上院も、可能性がないとはいえない」と指摘した。

 50対50の上院は共和党5人、民主党1人が議員引退を表明している。共和党の5人は、いずれもトランプ前大統領とは距離を置く良識派。仮に民主党が50議席以上を確保できたとしても、議会対策が複雑さを増すことは必至だ。バイデン政権のレームダック化が進むことも視野に入る。

 24年の大統領選はどうだろう。仮に79歳のバイデン氏が再選を目指さないことになれば、本来ならばハリス副大統領が後継候補の大本命となるはずだ。しかし、その存在感は薄く、他に決め手となる人物が今は見当たらない。

 一方のトランプ氏はどう出るか。「中間選挙の結果で自らの影響力を計ろうとしている。応援する候補者がどれだけ当選し、『落としてやる』と宣言した候補者が落選するかを見極めた上で決めるだろう」――。トランプ氏嫌いの私の胸はざわついた。


ゲスト / Guest

  • 秋元諭宏 / Satohiro Akimoto

    笹川財団米国会長兼理事長 / Chairman of the Board and President, Sasakawa Peace Foundation USA

研究テーマ:バイデンのアメリカ

研究会回数:14

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