2020年10月22日 14:00 〜 15:00 9階会見場
甘利明衆議院議員 会見

会見メモ

自民党税制調査会長であり、党の「デジタル社会推進本部」や「新国際秩序創造戦略本部」で座長を務める甘利明氏が登壇し、来年度の税制改正に向けた方向性、デジタル、経済安全保障などについて話した。

新型コロナによる内外経済の落ち込みについて甘利氏は「いつまで続くかわからない」との見通しを示し、増税には慎重な姿勢を示した。

また経済安全保障については「直近で一番重要なのは先端基礎科学。漏洩を許せばその国のリスクになる。日本は危機感が薄い」と指摘した。

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)


会見リポート

デジタル改革の「砕氷船」に

清水 真人 (日本経済新聞社編集委員)

 税制調査会長。デジタル社会推進本部の座長。経済安全保障などを扱う新国際秩序創造戦略本部の座長。自民党の重要ポストを掛け持ちし、政調会長に劣らぬ実権を持つ立ち位置から、3つを貫くキー概念「デジタル改革」の課題と展望を語った。

 「これからデジタル改革はすさまじい抵抗という氷山が広がる海に乗り出す。我々、党側は菅義偉内閣を座礁させないよう、先を行く砕氷船として航路を開かねばならない」と宣言した。どんな抵抗が待つのか。まず行政の司令塔として「デジタル庁」を創設するには、腰が引ける縦割り各省の権限と予算をはぎとってでも一元化しなければならない。

 次に大変なのは、これまでバラバラに調達してきて「つながらない」各省の情報システムを共通の基盤に乗せること。さらに約1700の自治体もシステムがまちまちなうえ、国・地方間も「つながらない」。「地方自治を制約してでも、法律で国が責任を持って共通のシステムを整備しなければならない」と説いた。

 国も地方も「個別最適でやってきた今のシステムを全て廃棄しなければならない」と覚悟を求めた。年末の税制改正や予算編成では「5年後の全体最適のDX(デジタルトランスフォーメーション)へ誘導する投資かどうか厳しく選別しなければいけない。古いシステムへの追加投資はやめる」方針を徹底するという。

 経済安保で警鐘を鳴らした一例は、デジタル技術で都市・地域のインフラ運営や生活サービスを高度に効率化する「スマートシティ」で、中国が国際標準化機構(ISO)などに国際規格を提案した動きだ。

 「個人情報を官民一体で管理する中国システムが世界標準にされるのは避けねばならない。自由と民主主義、法の支配の価値観を共有する日米欧は連携しなければいけない」と訴えた。先端技術の流出を防ぐ民間企業向けの「セキュリティ・クリアランス」の仕組み作りも提唱した。


ゲスト / Guest

  • 甘利明 / Akira Amari

    日本 / Japan

    衆議院議員(自由民主党) / Member of the House of Representatives, the Liberal Democratic Party

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