2020年10月08日 14:00 〜 15:30 9階会見場
「新型コロナ対応・民間臨時調査会」会見 小林喜光委員長ほか

会見メモ

シンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API、船橋洋一理事長)」が、日本の新型コロナウイルス感染症への対応を検証する「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(委員長=小林喜光・三菱ケミカルホールディングス取締役会長/前経済同友会代表幹事)を立ち上げ、日本政府の取り組みを中心に検証、報告書をまとめた。

小林委員長はじめ4人の委員と共同主査を務めた塩崎、野村の2氏、APIの船橋理事長が登壇し、報告書のポイントやここから得た教訓、今後の課題について話した。

民間臨調は、小林委員長ら4氏による委員会のもと個別分野の専門家19人から成るワーキンググループを設置。安倍晋三前首相、菅義偉前官房長官をはじめとする政府の責任者など83人を対象に延べ101回のヒアリングとインタビューを実施した。

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

 

写真左から船橋氏、浦島氏、塩崎氏、小林氏、大田氏、笠貫氏、野村氏

 

登壇者

委員長:小林喜光・三菱ケミカルホールディングス取締役会長、前経済同友会代表幹事

委員:大田弘子・政策研究大学院大学特別教授、元内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)

委員:笠貫宏・早稲田大学特命教授、元東京女子医科大学学長

委員:野村修也・中央大学法科大学院教授、森・濱田松本法律事務所客員弁護士

 

共同主査:塩崎彰久・長島・大野・常松法律事務所パートナー弁護士

共同主査:浦島充佳・東京慈恵会医科大学教授、小児科専門医

 

船橋洋一・アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長


会見リポート

コロナ政府対応、民間で初検証/「場当たり的だったが結果良し」

森 一夫 (日本経済新聞出身)

 新型コロナウイルスへの政府の対応を検証した「新型コロナ対応・民間臨時調査会」が記者会見した。小林喜光委員長(前経済同友会代表幹事)ら7人の発言は次のように要約できる。国民の評価は低かったが、政府の試行錯誤によって日本は最悪の事態を避けられた。しかし結果オーライで済ましてはならないと。

 安倍晋三首相(当時)が新型コロナ対策で成果を上げたと言う「日本モデル」とは何か。これが検証の一貫したテーマである。主要先進国の対策との大きな違いは、法的強制力を伴わない行動自粛要請という点にあったが、法的にできないのだから当然の成り行きといえた。

 官邸の司令塔機能も当初、混乱していた。もともとあった「新型インフルエンザ等対策室」は、そのままでは新型コロナに対応できなかった。次々と直面する難局を政府はどう乗り切ったのか。「力技で解決した」や「思い切った法解釈によって対処した」など、委員たちの説明が全てを物語っているように思う。

 臨時調査会は安倍首相、菅義偉官房長官(当時)など政府の責任者83人を対象に延べ101回の聞き取りをして、460ページ余りの調査・検証報告書をまとめた。同書は「結果オーライを引き寄せるのも政治の実力」と評価しつつ、「場当たり的な判断には再現性が保証されず、常に危うさが伴う」と指摘する。

 小林委員長は「今後はフォーキャストベースの立案が大事になる。10年先、20年先を科学的に予想して、災厄に備える必要がある」と言う。それを妨げるのは「日本は危機を真正面から議論するのを避ける傾向がある」(野村修也委員)点だろう。

 この調査会を組織した民間シンクタンクのアジア・パシフィック・イニシアティブの船橋洋一理事長は「我々は教訓を学ぶことを学ばなければいけない」と述べた。これが調査会の結論でもある。


ゲスト / Guest

  • 小林喜光

    委員長(三菱ケミカルホールディングス取締役会長、前経済同友会代表幹事)

  • 大田弘子

    委員(政策研究大学院大学特別教授、元内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当))

  • 笠貫宏

    委員(早稲田大学特命教授、元東京女子医科大学学長)

  • 野村修也

    委員(中央大学法科大学院教授、森・濱田松本法律事務所客員弁護士)

  • 塩崎彰久

    共同主査(長島・大野・常松法律事務所パートナー弁護士)

  • 浦島充佳

    共同主査(東京慈恵会医科大学教授、小児科専門医)

  • 船橋洋一

    アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長

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