2020年08月04日 13:00 〜 14:00 10階ホール
「新型コロナウイルス」(36) 自治体の奮闘③ 保坂展人・世田谷区長

会見メモ

世田谷区は都内で新宿区に次いで感染者数が多い。保坂展人区長が登壇し、PCR検査数の大幅拡充など、現在区が進めている対策について話した。保坂区長はPCR検査について「現状200~300の検査数をできるだけ早い段階で1桁増やす。体制をつくり、走り出しながら、国、都に働きかけていきたい」とあらためて強調した。

司会 坪井ゆづる 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)

 


会見リポート

「Go to PCR」へ転換を

岩岡 千景 (東京新聞社会部)

 PCR検査の拡充が叫ばれるなか、1日に大量に検査でき、医療関係者らには定期的に検査していくコロナ対策の「世田谷モデル」構築へ世田谷区が動き出している。保坂展人区長がその構想を語った。

 保坂区長はまず、人口が約92万人と東京23区全体の10分の1を占める区内の感染動向を説明。感染者は累計千人を超え、「第2波では感染は若者が多かったが次第に家庭内や職場内が増え、高齢者などの施設でも起きている」と現状を語った。

 また、これまでの区の対策も説明。4月から医療関係者と連絡会を重ね、マスクや防護服などの物品や財源の不足や区医師会による検査協力を訴える声などが上がり、保険診療による検査の実現や医療機関への助成などを進めてきたという。

 さらに、東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授から7月の会議で提案された「世田谷モデル」に言及した。その柱は①現在の200~300件から1桁多い検査数の拡大②「社会的検査」として介護、保育、医療など人との接触が避けられず社会機能の維持に必要な仕事をする人への定期的な検査。「全自動機器の導入や、一つの試験管に例えば5人分の検体を入れるプール方式の採用で、検査数は1桁上がりコストも低減する」と話した。

 保坂区長は「世界でうまくいった例を参考にするとPCR検査を制限する話にはならない」と、検査の必要性を強調。また、元気で症状がない感染者が他人に感染させるコロナの特性が、症状がある人を検査してきた従来の法体系の枠を超えているとも指摘。「コロナの側に法や制度を合わせるしかない。検査のハードルをぐっと低くし、アメリカのニューヨーク州でやっている『いつでも 誰でも 何度でも』を最終的には目指していくべきだ。『Go To トラベル』をやめ『Go To PCR』へ転換を」と訴えた。

 


ゲスト / Guest

  • 保坂展人 / Nobuto Hosaka

    東京都世田谷区長 / Mayer, Setagaya

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:36

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