2020年07月29日 14:30 〜 15:30 10階ホール
雨宮正佳・日本銀行副総裁 会見

会見メモ

雨宮正佳・日銀副総裁が、コロナ感染症の日本経済への影響とそれに対する金融政策の効果、今後の政策運営について話した。

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)

日本銀行

雨宮正佳副総裁


会見リポート

必要あれば追加的金融緩和も

宇山 謙一郎 (時事通信社経済部編集委員)

 新型コロナウイルス感染症の拡大が内外経済や金融市場、そして中央銀行の金融政策運営にどのような影響を及ぼすのか。未知の感染症を抑え込みつつ、急激に落ち込んだ景気を再び回復軌道に戻すという難題に直面している日銀。雨宮正佳副総裁は「感染症の経済・金融への影響には大きな不確実性がある。必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」と力を込めた。

 日銀はコロナ禍に対応するため今年3月以降、資金繰り支援など金融緩和の強化策を断続的に打ち出した。具体的には、政府の経済対策に伴う実質無利子・無担保融資を行った金融機関に対し、日銀が有利な条件で資金供給することなどが柱だ。

 政府・日銀による資金繰り支援策について、雨宮副総裁は「企業の倒産や廃業を抑制し、雇用を支える」と主張。「これまでのところ倒産は増えていない」と胸を張る。

 その上で今回の感染症など「緊急事態への対応では政府と中央銀行が連携して政策を行うことが効果的だ」と指摘。日銀が国債の大規模買い入れを続けていることに関しては「金融政策上の目的で行っており、財政資金の調達を支援しているわけではない」と事実上の財政ファイナンスとの見方を否定した。

 景気については、回復に向けた移行局面に入りつつあるとしながらも、経済が順調に持ち直すには「第2波が来ないのが前提」という。

 一方で、コロナとの共存という「ウィズ・コロナ」時代だからこその新たな可能性にも言及した。教育や医療といった分野でもオンラインの取り組みが進んでおり「デジタル化が加速すればハード・ソフト両面で需要が創出される」と分析。日銀としても、キャッシュレス化の進展を見据え、中央銀行が発行するデジタル通貨の研究を加速する考えを示すなど、コロナ禍を前向きに捉える一面もあった。


ゲスト / Guest

  • 雨宮正佳 / Masayoshi Amamiya

    日本 / Japan

    日本銀行副総裁 / Vice President,the Bank of Japan

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