会見リポート
2020年05月19日
13:00 〜 14:00
オンライン開催
「新型コロナウイルス」(20) 派遣切り・非正規労働者の現状 鈴木剛・全国ユニオン会長
会見メモ
写真左から鈴木剛、関口達矢、関根秀一郎、広岡法浄、遠藤カルロス健二、神部紅の各氏。
新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が収縮する中、企業収益悪化のしわ寄せが非正規労働者に及んでいる。
鈴木剛・全国ユニオン会長、関口達也・全国ユニオン事務局長、関根秀一郎・派遣ユニオンの3氏が登壇し、派遣切り、雇い止めの実態について話した。
また三重県からはユニオンみえの広岡法浄委員長、遠藤カルロス健二副委員長、神部紅書記長がオンラインで参加。地方の現状について具体例をもとに報告した。
司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)
登壇者:
①鈴木剛(すずき・たけし)全国ユニオン会長
②関口達矢(せきぐち・たつや)全国ユニオン事務局長
③関根秀一郎(せきね・しゅういちろう)派遣ユニオン書記長
④広岡法浄(ひろおか・ほうじょう)ユニオンみえ委員長
⑤遠藤カルロス健二(えんどう・かるろす・けんじ)ユニオンみえ副委員長
⑥神部紅(じんぶ・あかい)ユニオンみえ書記長
配布資料:
(5) 三菱重工業株式会社宛て 要請書(2020年4月23日)
会見リポート
「雇用守らなければ社会崩壊」
堀篭 俊材 (朝日新聞社編集委員)
派遣社員らでつくる全国ユニオンのホットラインには相談が殺到している。「在宅勤務が認められず、出社せざるを得ない」「休業させられても何の補償もない」。緊急事態宣言の出た4月以降は、雇い止めについての相談が急増する。鈴木会長は「このまま無策の状態が続くと、経済的に困窮する非正規労働者が続出する」と心配する。
コロナ禍の直撃を受ける自動車部品工場やホテルでは、雇い止めになり、残りの契約期間の賃金が全く支払われない事態も相次ぐ。「派遣労働者は雇用調整の調整弁として利用され、真っ先に切り捨てられている」。派遣ユニオンの関根秀一郎書記長はそう指摘した。
地方からも報告が寄せられた。日系の外国人労働者からの相談が相次ぐ「ユニオンみえ」の神部紅書記長によると、妊娠中や子育て中、または有給休暇の取得を申し出たなど、企業からみて使い勝手の悪い労働者が優先的に選別され、切り捨てられている。
「コロナで大変だからしょうがない」と理屈をつけて、派遣会社は退職を迫る。まさに「コロナ切り」だ。日本語の不自由な外国人労働者に対し、企業の担当者が十分に説明せず、書類にサインをさせる悪質な例もある。人手不足の日本を支えてきた弱い立場にある働き手にしわ寄せが及んでいる。
派遣切りが横行したリーマン・ショックの教訓は生かされないのか。「コロナ以前から日本の雇用政策は非常に劣化していた」という鈴木会長の言葉が印象的だった。規制緩和で派遣労働者は増え、雇用保険が適用されない請負やフリーランスという働き方を選ぶ人も増えている。
緊急事態宣言が解除されても、景気の冷え込みは続き、企業の倒産が増えることが懸念されている。鈴木会長は最後に「雇用を守らなければ社会は崩壊する。政府は労働者のクビを切らせないという明確なメッセージを出すべきだ」と締めくくった。
ゲスト / Guest
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鈴木剛
全国ユニオン会長
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関口達矢
全国ユニオン事務局長/東京ユニオン副執行委員長
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関根秀一郎
派遣ユニオン書記長
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広岡法浄
ユニオンみえ委員長
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遠藤カルロス健二
ユニオンみえ副委員長
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神部紅
ユニオンみえ書記長
研究テーマ:新型コロナウイルス
研究会回数:20