2020年04月10日 13:30 〜 14:30 オンライン開催
「新型コロナウイルス」(8) 仁坂吉伸・和歌山県知事

会見メモ

和歌山県にある済生会有田病院では医師、入院患者が相次ぎ感染したものの、3週間弱で通常業務を再開した。

県の判断で、検査対象を広げたことなどが奏功したとされる。

仁坂吉伸知事が、この間の経緯や感染拡大防止に向けた県の取り組み、国への要望について話した。

緊急事態宣言を踏まえ、仁坂知事は和歌山県庁からインターネットを介し会見。

日本記者クラブでは記者席を設けず、参加者に対しライブで配信した。

司会 伊藤雅之 日本記者クラブ企画委員(NHK)

和歌山県ホームページ

配布資料

◆会見全編の書き起こしが和歌山県のウェブサイトで公開されています。


会見リポート

「ええかっこしい」が一番ダメ

大牟田 透 (朝日新聞社GLOBE編集部)

 新型コロナウイルスの感染拡大で政府が緊急事態宣言を出し、日本記者クラブの会見からも記者席が消えた。50年を越えるクラブの歴史で初めて、インターネットによるライブ会見として催された。

 2月中旬に和歌山県の済生会有田病院で新型コロナでは国内初の院内感染が起き、毎回知事自ら記者会見に臨んだ。「嫌なことは部下に任せてトップが逃げるわけにはいかない」と考え、「どこまで言っていいか、とっさの判断が要る。ごまかしたり隠したりすると疑心暗鬼を生むから、感染予防に必要なことはどんどん言った」のだという。

 院内感染は4月になって各地で急増しているが、入院患者の治療を続けながら、同時に感染拡大を一刻も早く止めるのは難題だ。和歌山県は当時の国の検査指針を超え、優先順位を付けつつも病院関係者や県内の肺炎患者に片っ端からPCR検査を実施。対象は600人を超え、一部は大阪府にも協力を仰いだという。その結果、病院は約3週間で通常業務を再開できた。

 まだ感染があまり広がっていない段階だったからできた作戦であることは、仁坂氏も認める。だが、和歌山県のこだわりは他にもある。感染者数については累計ではなく、現在の陽性者数をメインに発表している。発熱しても4日程度は自宅で様子を見るという国の目安にはあえて従わず、ふつうに医者に行ってもらうという。

 個別の当否はさておき、自ら懸命に考えた結果のようだ。「専門家の意見をフォローし、医務系の技官と一緒に、今がどういうタイミングで何をしなきゃいけないかを真剣に議論し、納得ずくでやっている」「前例や、国からの誰かの指示とか、権限とか、そんなことは二の次。一番大事なのは県民の命と健康だから、そのために論理を尽くして、議論すればいい」「一番いけないのは、ええかっこしいですね。自分の政治的な地位をアピールするのだけは慎んだ方がいい」

 歯切れのいい言葉が続いた。


ゲスト / Guest

  • 仁坂吉伸 / Yoshinobu Nisaka

    日本 / Japan

    和歌山県知事 / governor of Wakayama Prefecture

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:8

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