2020年03月30日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「米軍基地問題に関する万国津梁会議」会見

会見メモ

玉城デニー・沖縄県知事の諮問機関である「米軍基地問題に関する万国津梁(しんりょう)会議」が提言をまとめ、3月26 日に玉城知事に提出した。

これを踏まえ、柳澤協二委員長、野添文彬副委員長、宮城大蔵委員の3氏が会見した。

柳澤氏は「辺野古新基地は常識的に無理。本来の目的、普天間の危険性除去を議論すべき」と強調。野添氏は「国際情勢も変化。米軍も戦略見直しに動く。米海兵隊の本土、アジアへの分散・移転は安全保障上も合理的」と指摘した。宮城氏は「今回の提言がメディア、世論、政治の世界を含め、沖縄の議論を活発化させる糸口になれば」と期待を示した。

 

同会議は在沖縄米軍基地の整理・縮小について、重点的に検討することを目的に設置され、昨年5月から4回にわたり議論してきた。

司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同新聞)

写真左から宮城大蔵委員、柳澤協二委員長、野添文彬副委員長

「米軍基地問題に関する万国津梁会議」


会見リポート

米軍の戦略見直しに応じ、沖縄の負担軽減を目指す

豊田 洋一 (東京新聞論説副主幹)

 相手の力を利用して相手を制す。柳澤氏ら万国津梁会議メンバーの会見を聞きながら、そんな武道があったなぁ、と思い浮かべていた。

 会見は玉城デニー沖縄県知事に提言書を手渡した4日後に行われた。

 宜野湾市にある米海兵隊普天間飛行場の名護市辺野古への移設は、軟弱地盤のため困難だと指摘し、沖縄の海兵隊を県外・国外に分散移転させることを求める内容である。

 柳澤氏ら会議のメンバー7人は日米安保反対派ではない。安保の意義を認めた上で、安定的な維持のために、在日米軍基地の70%が集中する沖縄の過剰な基地負担を是正する必要があるとの危機感を持つ面々だ。

 普天間返還も基地負担の軽減が目的だったし、今もそうだ。

 しかし、日米両政府が「唯一の解決策」とする辺野古移設は早くても12年後。その間、世界で最も危険と言われた普天間は残り続ける。

 柳澤氏らが強く訴えたことは普天間の危険性除去という原点に戻ることだ。「常識的に考えてほとんど無理」という辺野古に固執しては、負担はいつまでも軽減されない。

 そこで柳澤氏ら会議が着目したのが、海兵隊が戦略を見直し、前方基地に依存しない新しい遠征型の海軍力の発展を目指していることだ。この場合、前方に位置する沖縄の米軍基地は大規模である必要がない。

 米軍の戦略見直しに応じて、沖縄の米軍基地を移転させる。それが冒頭に挙げた、相手の力を利用して相手を制すという意味である。

 しかし、普天間の危険性除去という原点に返ることが決して容易でないことも、普天間返還合意から4半世紀近くがたとうとしている時の長さが表している。

 柳澤氏は「死ぬまで」この問題に関わると、会見を締めくくった。この提言と柳澤氏らの思いが、沖縄の米軍基地の状況を少しでも好転させることを願わずにはいられない。


ゲスト / Guest

  • 柳澤協二

    米軍基地問題に関する万国津梁会議委員長

  • 野添文彬

    米軍基地問題に関する万国津梁会議副委員長

  • 宮城大蔵

    米軍基地問題に関する万国津梁会議委員

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