2020年03月18日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「米大統領選の行方」(2)トランプ大統領と福音派 松本佐保・名古屋市立大学教授

会見メモ

『熱狂する「神の国」アメリカ-大統領とキリスト教-』(2016年、文春新書)などの著書がある松本佐保教授が、福音派がなぜトランプ大統領を支持するのかなど大統領選と宗教との関係について話した。

松本佐保教授(名古屋市立大学ウェブサイト)

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

 


会見リポート

福音派にとってトランプ氏は、「仕事をする大統領」

小倉 孝保 (毎日新聞社編集編成局次長)

 「米大統領選の行方」シリーズ第2回のテーマは宗教だった。ちょうど民主党候補者選びでジョー・バイデン元副大統領の指名がほぼ確実になったため、時宜を得た会見となった。

 テーマは「トランプ大統領と福音派」。新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず、会見には80人が参加し、このテーマへの関心の深さがうかがえた。

 松本教授は2016年、『熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教』(文春新書)を書くなど、政治と宗教の関係を専門とする研究者である。

 前回大統領選挙での宗教票の分析から、白人の福音派キリスト教徒の81%がトランプ氏に投票した状況が報告された。彼自身には宗教熱心なイメージがないにもかかわらず、福音派がトランプ氏を支持し続ける背景として教授は、「イスラエルとの関係強化、死刑制度存続、進化論の否定、国民皆保険の反対など福音派の主張する政策を実行している。福音派からみれば、ちゃんと仕事をする大統領である」と解説した。

 バイデン氏が民主党候補になりそうな状況から、「トランプ対バイデン」の構図を念頭にした発言もあった。カトリック教徒として人工妊娠中絶に反対していたバイデン氏が昨年、公的資金による妊娠中絶費支援に賛同すると表明したことについて、松本教授は「人工妊娠中絶が大統領選挙での重要な争点になる」と語った。

 会見の後半には熱の入った質疑応答もあった。新型コロナウイルス拡大が大統領選挙に与える影響について聞かれた教授は、「経済が落ち込むだけでなく、メガチャーチ(福音派の巨大教会)で礼拝ができなくなることでトランプ氏に不利になる可能性がある」と説明した。


ゲスト / Guest

  • 松本佐保 / Matumoto Saho

    日本 / Japan

    名古屋市立大学教授 / Professor, Nagoya City University

研究テーマ:米大統領選の行方

研究会回数:2

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