2020年02月21日 13:30 〜 14:30 10階ホール
「オリンピック・パラリンピックと社会」(7) 中南久志・東京2020組織委員会パラリンピック統括室長、パラリンピック・ゲームズ・オフィサー(PGO)

会見メモ

中南氏は1990年に東京ガスに入社、2011年から鳥原光憲会長(この年から日本パラリンピック委員会委員長、現・同委員会会長)の秘書を務めた後、14年に組織委員会パラリンピック担当部長として出向し、17年にパラリンピック統括室長に就任。今年1月からパラリンピック大会の運営を強化するために新設されたパラリンピック・ゲームズ・オフィサーを兼務している。

 

夏季大会で初めての2度目のパラリンピックとなる東京2020大会への意気込み、大会後のパラリンピックのレガシーについて語った。

 

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

日本の常識は世界の非常識/パラ大会キーマンが語る共生社会への秘策

芳賀 竜也 (毎日新聞社運動部東京パラリンピック取材班キャップ)

 夏季大会で初めて、同一都市で2度目のパラリンピックとなる2020年東京大会。小池百合子・東京都知事らから「パラリンピックの成功なくして東京大会の成功なし」との重圧を受ける中で、パラリンピックを統括するのが中南氏だ。「これまでパラリンピックの話題でこんなに記者の皆さんが集まることはなかった」と驚く会見場では、43人の記者らが興味深いエピソードの数々に聴き入った。

 パラリンピックの開催目的の一つに「共生社会の実現」がある。中南氏は身近な事例を基に、日本人の意識改革を促した。例えば、行列ができている場合、日本では「先着順」がマナーだ。だが、エレベーターの前にできた行列の最後尾で車いすユーザーが乗車を待っている光景を目にした国際パラリンピック委員会の幹部は中南氏に「ヒサシ、これは世界から見るとおかしい。車いす利用者はエレベーターしか使えないのに、前の人に優先権があるのは日本独自のルールだ」と首をかしげたという。

 大阪府出身。高校時代はワンダーフォーゲルに熱中した。鳥原光憲・東京ガス会長(当時)の秘書として12年ロンドン・パラリンピックの開会式に接したが、翌日の現地紙が1面を含めパラリンピック尽くしであることに驚き、記念に持ち帰ったという。あれから間もなく8年。パラスポーツに対する社会の理解について「とても大きな変化だ。テレビコマーシャルでパラアスリートを見ない日がなくなった。ロンドン大会前は『障害者を見せ物にするのか』という批判があった」と振り返る。

 新型コロナウイルスの影響で、会場からは大会運営への懸念に対する質問が相次いだが「私は感染症の専門家ではない」と慎重な回答にとどめ、「日々のパラリンピック報道には感謝しかないが、陸上世界選手権やサッカー・ワールドカップのように海外の選手も取り上げ、大会をさらに盛り上げてほしい」と要望した。


ゲスト / Guest

  • 中南久志 / Nakaminami Hisashi

    / Japan

    東京2020組織委員会パラリンピック統括室長、パラリンピック・ゲームズ・オフィサー(PGO)

研究テーマ:オリンピック・パラリンピックと社会

研究会回数:7

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