2020年01月21日 15:30 〜 16:30 9階会見場
ホルヘ・トレド・アルビニャーナ駐日スペイン大使 会見

会見メモ

スペインは昨年2回の総選挙を経て、今月サンチェス首相率いる社会労働党(中道左派)と左派ポデモスの連立政権が成立した。政治の動向や経済状況などについて、ホルヘ・トレド・アルビニャーナ駐日大使が話した。

司会 鶴原徹也 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 中尾憲枝(スペイン大使館)


会見リポート

「ブレグジットはスペインに好機」

佐野 彰洋 (日本経済新聞社国際部)

 2010年代初頭の欧州債務危機で深い痛手を負ったスペイン。11~13年にかけてマイナス成長に苦しんだが、近年はユーロ圏を上回る経済成長を達成している。日本駐在が二度目というベテラン外交官からは、給与水準の引き下げ、失業やマイホームの立ち退き問題など国民の多大な犠牲によって回復した自国経済の繁栄を確実なものにしたいという使命感が伝わってきた。

 英国が欧州連合(EU)を離脱する「ブレグジットはスペインにとって好機だ」。記者会見中、アルビニャーナ大使は交通インフラの充実や競争力のある賃金水準、工場用地の確保のしやすさなどを挙げ日本企業が英国内に置く生産や販売拠点の移転先としてスペインを選ぶよう訴えた。アフリカ大陸対岸の地理的優位性や旧植民地との歴史的つながりを背景に「欧州、中南米、アフリカへのゲートウェイ」として「魅力的な投資先」だと力を込めた。

 一方、中国マネーの積極的な取り込みには慎重な姿勢を示した。中国が推進する広域経済圏構想「一帯一路」を巡っては、イタリアや中東欧諸国が協力の覚書に署名したが、中国資本による重要インフラの取得には警戒感も広がる。アルビニャーナ大使は「単独では中国に対処できないが、EUとしてまとまれば対抗できる」と強調、目先の利益よりも欧州の結束が重要との考えをにじませた。

 スペイン内政については、二度の総選挙を経てようやく中道左派の社会労働党と急進左派ポデモスの連立政権が発足したことを報告した。サンチェス首相が政権発足のために、カタルーニャ州の独立を求める地域政党の協力を仰いだことに触れ、今後は「話し合いでの解決に重点が置かれる」との見通しも示した。ただ、独立を問う17年の住民投票を強行したとして有罪判決を受けた当時の州政府幹部らへの恩赦には「政府がすることはないと信じている」と否定的な見解を示した。


ゲスト / Guest

  • ホルヘ・トレド・アルビニャーナ / Jorge Toledo Albiñana

    スペイン / Spain

    駐日大使 / Ambassador

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