2020年01月22日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「2020年経済見通し」(3) デジタル時代の経済 森健・野村総合研究所上級研究員

会見メモ

デジタルが生み出す経済効果などについて、野村総合研究所上級研究員の森健氏が話した。共著書に『デジタル資本主義』(東洋経済新報社、2018年)などがある。

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

「新たな経済指標が必要だ」

東 一眞 (読売新聞社編集委員)

 経済指標で見ると、近年の日本の経済成長率は1%程度でほぼ横ばい、雇用者所得も横ばいだ。一方、森氏らの「生活者1万人アンケート調査」では、自分の生活レベルを「上/中の上」と見る人の割合が2009年から増え続けており、経済指標とギャップがあるという。

 

 生活の満足度を支えているのは「消費者余剰」だ。これは、モノやサービスの「実際価格」と「消費者が支払ってよいと考える価格」の差で、いわばお得感だ。GDPには反映されない。

 

 森氏は、無料のデジタルサービスの普及が「消費者余剰を大きく拡大した」と話す。森氏らの推計では、音楽配信のスポティファイは19年に世界で3・3兆円の消費者余剰を生み出した。また、日本でデジタルが生み出す消費者余剰はGDPの3割に達するという。

 

 森氏は「GDPでは生活満足度は測れない。消費者余剰などを加味した、新たな経済指標が必要だ」と述べた。

 


ゲスト / Guest

  • 森健 / Takeshi Mori

    日本 / Japan

    野村総合研究所上級研究員 / Senior Researcher, Nomura Research Institute

研究テーマ:2020年経済見通し

研究会回数:3

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