2019年07月30日 15:30 〜 17:00 10階ホール
「朝鮮半島の今を知る」(31) 朴喆煕・ソウル大学国際大学院教授

会見メモ

 今年の6~7月にかけ 東京大学東京カレッジの特任教授として日本に滞在していた朴喆熙(パク・チョルヒ)教授が離日を前に登壇した。「日韓はもともとケンカばかり。今が最悪というわけではない。ただ両国のパイプが細くなっているのが心配」「単純化の誤謬に陥っている」「協議するしか道はない。このまま仲裁に持ち込んでも互いに傷つくだけ」。双方が自分の正義に拘泥する姿勢を憂えた。

 

司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

ソウル大学HP教員紹介ページ(英文)


会見リポート

「話し合いで解決探るべき」

水沼 啓子 (産経新聞社元ソウル特派員)

 日本政府は8月2日、輸出管理で優遇措置をとる「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。これに対し、韓国の文在寅大統領も強い調子で日本を非難し、韓国側の「相応の措置」による日本の被害にも言及するなど、日韓間の軋轢がより一層深まっている。

 朴喆熙ソウル大学国際大学院教授は、この日韓の葛藤の発端として、昨年10月の韓国大法院(日本の最高裁判所に相当)の徴用工判決を挙げた上で、3つの懸念を示した。

 まず日韓間のパイプが非常に細くなり、意思疎通が円満にいかなくなっていること。以前なら、政治家が非公式に話をまとめて他に飛び火しないように努めていたが、今はそういった動きが見られない。

 二つ目は、日韓双方が自分のほうが正義で相手が悪いに決まっているという見方をとること。自分たちの立場に従わないのであるなら、懲罰を与えるしかないといった対応を取っており、外交や政治ではなく、法律論で物事を解決しようとするのは残念だ。

 三つ目は、以前は日韓ともに戦略的に相手国に価値を見いだし、関係を損ねたら大変なことになるという共通認識の下、両国間で葛藤が激しくなるとそれを止めようとした。最近は相手国を軽く見る傾向が双方にある上、日本には嫌韓の流れ、韓国には反日の流れがあり、それを止める力が働いていない。

 さらに日韓ともに単純化の誤謬に陥っていると指摘する。日本のメディアは、文在寅政権の動きをみて韓国全体が反日となり、日本に立ち向かっているといった報じ方をしているが、韓国で行われている多様な議論や反論が、日本では十分に評価されていないという。

 一方で、韓国に対して謝罪も、反省も、補償も何もない、といった安倍政権の声ばかりがそのまま韓国に伝わり、歴史問題について謙虚に対応すべきといった日本人の声が届いていないとした。

 その上で、朴教授はあくまでも日韓両国が話し合いで落とし所を探すべきだとした。話し合っても双方の溝が埋まらないのであれば、仲裁委員会を設置し、第三者も交えて解決を目指すことを提案する。国際司法裁判所(ICJ)への提訴は、日韓外交戦争に発展すると危惧する。


ゲスト / Guest

  • 朴喆熙 / Park Cheol-hee

    韓国 / Korea

    ソウル大学国際大学院教授 / professor, graduate school of international studies, Seoul National University

研究テーマ:朝鮮半島の今を知る

研究会回数:31

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