2019年06月04日 14:30 〜 15:30 9階会見場
サンジェイ・クマール・ヴァルマ駐日インド大使 会見

会見メモ

インド人民党(BJP)が圧勝した総選挙は「過去最高の投票数、投票率で女性、若者の参加も多かった」と、モディ政権への支持が幅広いことを強調した。天安門事件30年についての質問には「個別国へのコメントはしないが、基本的人権はすべての政府が保障すべき」。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 森岡幹予(サイマル・インターナショナル)

 


会見リポート

モディ政権2期目、外相は親日派

平岩 貴比古 (時事通信社外信部)

 シルクロード経済圏構想「一帯一路」の旗印の下、経済力と軍事力を背景に全世界において影響力を強めつつある中国。この動きに対抗すべく、日米は「自由で開かれたインド太平洋」構想を掲げているが、そこでカギとなるのが人口約13億人の世界最大の民主主義国家インドだ。2018年11月には初の日米印首脳会談が開かれるなど、重要性はさらに増している。

 そのインドで4月から5月にかけ、任期満了に伴う総選挙が行われ、与党インド人民党(BJP)が勝利。14年から国を率いるモディ首相が2期目政権を発足させた。19年1月に着任したヴァルマ駐日大使は記者会見で「日印に深く関わるのがインド太平洋地域。両首脳は相性が良く、過去5年間で議論・実施されてきた施策は今後5年間も継続する」と期待を示す。

 新政権の目玉は外交トップ。健康問題で総選挙に出馬しなかったスワラジ前外相の退任を受け、ジャイシャンカル新外相が就任した。「日本人の(キョウコ)夫人がいて在日大使館で勤務経験があり、日本に非常に親近感を抱いている。中国、米国で大使も務めた」と記者会見で紹介された。現実的な対米・対中認識を持ち、日本とも強いパイプを築くことが可能だろう。

 「一帯一路」について、大使は「外国の領土や主権を侵害してはならない。ある事業で実際にインドの一体性が侵害されたことがあり、署名も参加もしていない」と中国に対する不信感をあらわにした。

 インド太平洋構想においては、日米もインドも「いかなる国も排除しない」という立場だが、中国は「政治的であり排他的」と反発。インドの伝統的友好国でもあるロシアのラブロフ外相は5月の来日時、構想を「閉鎖的な同盟」と評し、協力するか否かを留保した。「中ロ蜜月」を建前としながら、実は中国に警戒感を隠さないロシアの対応も今後の焦点となりそうだ。


ゲスト / Guest

  • サンジェイ・クマール・ヴァルマ / Sanjay Kumar Verma

    インド / India

    駐日大使 / Ambassador

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