2019年06月05日 14:00 〜 15:30 10階ホール
フォン・ヴェアテルン駐日ドイツ大使 会見

会見メモ

 在任5年半、帰任直前に7度目の登壇となった。「相違点こそ日独関係の命。お互い相違点から学んできた」。世界的なポピュリズム台頭には「複雑な問題に簡単な答えはない」。対米外交には「米国=トランプではない。言いたいことを言った方がうまくいく」。

 

司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

通訳 ベアーテ・フォン・デア・オステン(ドイツ大使館)

 


会見リポート

ポピュリズム阻止には対話を

高岡 秀一郎 (時事通信社外経部編集委員)

 「退官すれば、そもそも話す気が起きない人とも、しばしばいらだちを感じたとしても対話していきたい」-。

 フォン・ヴェアテルン大使は6月末、5年4カ月に及ぶ任期を終えて帰国、退官する。日本記者クラブで行った離任前の最後の会見で、大使の口をついて出たのは、欧州や世界を席巻するポピュリズム(大衆迎合主義)への懸念と、それを阻止する上での対話の重要性だった。

 5月下旬に行われた欧州議会選挙では、極右や欧州連合(EU)懐疑派などポピュリスト勢力が着実に得票を伸ばした。フォン・ヴェアテルン大使は「複雑な問題に簡単な答えはない」と指摘。グローバル化の負の側面や社会的格差、難民問題などで、ポピュリストらの単純で「間違った答え」のまん延を許さないためにも、「対話が絶対必要だ」と力を込めた。

 ポピュリズムの世界的な潮流に棹を差すかのように、トランプ米大統領は「米国第一」を唱え、気候変動や安全保障、貿易といった諸課題で国際協調から背を向ける。「旧来の確実さが不確実になった」と、大使は憂えた。

 安倍晋三首相がトランプ氏との親密な関係構築に腐心する一方、メルケル独首相は5月、米ハーバード大学での講演で、保護主義や孤立主義に反対し、暗にトランプ氏を批判するなど、「対トランプ」で日独のスタンスは異なる。

 フォン・ヴェアテルン大使は、安保面で日本が米国にドイツよりも依存していることが背景と分析。ドイツにとって「もちろん米国は最も重要な安保上のパートナー」としつつも、国際秩序の流動化を踏まえ、自らが安保面でもっと取り組む一方、「他のパートナーとの協力を強化する必要がある」と強調した。

 いずれにせよ、日独は米国やロシア、中国と比べると「中規模国」(フォン・ヴェアテルン大使)だ。市場開放や交流、法治主義、平和的な紛争解決、ルールに基づく国際関係などで、「日独は世界において一層の責任を負わなければならない」と大使は訴え、日独連携強化を最後のメッセージとした。


ゲスト / Guest

  • ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン / Hans Carl von Werthern

    ドイツ / Germany

    駐日大使 / Ambassador

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