2019年05月20日 14:00 〜 15:00 10階ホール
金立群アジアインフラ投資銀行(AIIB)総裁 会見

会見メモ

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁が会見。日本との協調に期待を示した。

 

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)

 


会見リポート

印象改善へ、協力を強調

鎌田 秀男 (読売新聞社経済部)

 中国による、中国のための金融機関――そんな印象を改善しようとの意気込みか。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は会見で、「協力と協調が、AIIBのDNAとして最初から入っている」と切り出した。アジア開発銀行(ADB)など他の国際金融機関とも、「切磋琢磨しており、決してライバル同士ではない」と強調した。

 「日本のマルチバンクは、アジアのインフラ整備投資について、幅広い経験をお持ちだ」とも述べ、国際協力銀行(JBIC)や国際協力機構(JICA)、日本の商業銀行との協調融資にも意欲を示した。訪問国への単なるリップサービスというだけではなく、日本の金融機関とのタッグが実現すれば、AIIBの信用力向上につながるとの計算もありそうだ。

 金総裁自身が、「新しい銀行の設立にあたり、異論を唱える声も多かった」と振り返ったように、特に日本国内では、AIIBに対する懐疑的な見方が優勢のようだ。AIIBがもともと、中国の巨大経済圏「一帯一路」構想をサポートするために創設されたという経緯が、疑念をくすぶらせている。

 会見の質疑でも、一帯一路関連の融資が途上国を「債務の罠」に陥れている、との懸念が示されたが、金総裁は、「多くの途上国は一帯一路構想に協調したいと思っているし、さらに中国との連携を密にしたいと願っている」とかわした。

 筆者は今年3月末までの約4年間、中国・北京に駐在した。この間、AIIBについての記事をたびたび執筆し、金総裁にも、直接取材する機会を何度もいただいた。

 記者と冷静にやり取りする金総裁の紳士ぶりは、今回の会見でも変わらなかった。一方で、AIIBの生みの親である中国に話題が移った途端、中国政府の代弁者という顔が前面に出てしまう点も、やはり変わっていないようだった。

 


ゲスト / Guest

  • 金立群 / Jin Liqun

    アジアインフラ投資銀行(AIIB)総裁 / President, Asian Infrastructure Investment Bank

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