2019年02月01日 13:00 〜 14:00 10階ホール
セイコウ・イシカワ駐日ベネズエラ大使 会見

会見メモ

グアイド国会議長が暫定大統領就任を宣言したベネズエラの現状についてイシカワ大使が会見し、グアイド氏を支持する国に対しては「内政干渉だ」と懸念を示した。終了予定時間を大幅に超えて、会場の質問に答えた。

 

司会 中井良則 日本記者クラブ前専務理事

通訳 金谷祥子(ベネズエラ大使館)


会見リポート

「暫定大統領に正統性なし 内政不干渉の尊重を」

佐渡 勝美 (産経新聞社外信部)

 渦中の国、ベネズエラの駐日大使の登壇とあって、会場はほぼ満席、熱気に包まれた会見は質疑応答も含めて2時間近くに及んだ。

 イシカワ大使は冒頭、野党連合が多数派を占めるベネズエラ国会のグアイド議長が1月23日に暫定大統領への就任を宣言したことを「憲法違反であり、政権転覆を企てたクーデターだ。正統性はない」と糾弾した。また、世界のメディアの潮流について「グアイド氏が国民や国際社会の支持を得ており、マドゥロ大統領は独裁者であるかのような印象を与える傾向にあるが、これは誤りだ。危機をあおり、最悪の場合、米国の軍事介入を招く」と指摘した。

 その上で「内政不干渉など尊重すべき原則がある。メディアの役割は大きく、国際社会の中で良心を育む機能を果たしてほしい」と訴えた。

 大使は「グアイド氏は野党間の輪番で国会議長になったにすぎず、全く無名の存在だった。それが彗星のごとく躍り出たのは、米政府が後押ししてクーデターを仕組んだからだ」とも述べ、「暫定大統領就任宣言の前日に、ペンス米副大統領がグアイド氏に電話で宣言を促した」と〝証拠〟を示しながら批判した。

 マドゥロ大統領は昨年5月、有力な野党候補を排除して大統領選を強行し、再選された経緯があり、欧米では再選挙を求める声が強いが、大使は「野党の不参加は野党の落ち度によるものだ。1000万人近くが投票所に行き、マドゥロ氏に投じた約600万人の意思を軽く見るべきではない。再選挙に国内合意はない」と主張。「ベネズエラに平和と安定をもたらすのはクーデターでも暫定大統領の正当化でもない。大切なのは建設的対話だ」と強調した。

 日系2世で14年前に32歳の若さで駐日大使の職に就いたイシカワ氏は、東京にいる各国大使の中で3番目の古参だという。その全身は「ベネズエラ愛」で貫かれていた。


ゲスト / Guest

  • セイコウ・イシカワ / Seiko Ishikawa

    ベネズエラ / Venezuela

    駐日ベネズエラ大使 / Ambassador

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