2018年09月04日 14:00 〜 15:00 9階会見場
著者と語る『日めくり子規・漱石 俳句でめぐる365日』神野紗希・俳人

会見メモ

『日めくり子規・漱石 俳句でめぐる365日』

同書は「子規・漱石とその門人たちの俳句を詠む」をテーマに2017年1月から1年間、1日1句形式で愛媛新聞に連載したものをまとめたもの。「文豪と呼ばれる前の何者でもなかった時代の2人を追うのを主眼にした」と語った。2人の俳句の特徴を、子規はかんたんで客観的、漱石はむつかしく、江戸っ子的な人情豊かと解説した。

 

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

子規あっての漱石、漱石あっての子規

 会見はクイズで始まった。二つの俳句。どちらが正岡子規の句で、どちらが夏目漱石でしょうか、と。

「うつむいて谷見る熊や雪の岩」

「うつむいて膝にだきつく寒哉」

 正解は前者が子規、後者が漱石。会場の大多数が間違えた。結核を患い、34歳で早世した子規の印象が強いせいだろう。

 子規と漱石。学生時代に東京で知り合った二人は、松山市の下宿「愚陀仏庵」で52日間、一緒に暮らしたこともある。お互いが「なくてはならない」存在となり、交遊は子規が亡くなるまで続いた。神野さんは、まだ「文豪」でも「小説家」でもなかった二人の若者の素顔と心温まる交流を、俳句や往復の手紙を通じて読み解いていった。

 「悩める近代人」のイメージの漱石は、神野さんによれば「人情豊かな江戸っ子」。病に苦悩する子規を励まし、子規はその励ましで得た明るさで漱石を文学の世界へいざなった。「楽観的蜜柑(子規)と思索的林檎(漱石)」。神野さんは二人をこう表現した。

 「日めくり子規・漱石」は二人の生誕150年に当たる2017年、神野さんが愛媛新聞で1年間連載した記事をまとめた。1日1句、二人の作品を中心に、門下生や友人など53人の句を交えながら解説、背景やエピソードを紹介した。分かりやすい文章は、読者に好評を博した。

 連載時の神野さんは34歳。くしくも子規の没年齢と同じで、「俳人を名乗る自分がこれから何を書いていくべきかを考えさせられた連載で、二人との豊かな対話の時間を持たせてもらった」と振り返る。

 高校時代「俳句甲子園」をきっかけに俳句を始めた神野さん。長らく「少子高齢化が凝縮した世界」だった俳句界を、若い人たちが「新しい子規、漱石となって変えてくれると信じている。自分もその一人として書いていきたい」と話した。今後のますますの活躍を期待したい。


愛媛新聞社東京支社長  杉原 俊之

ゲスト / Guest

  • 神野紗希 / Saki Kono

    日本 / Japan

    俳人 / Haiku Poet

研究テーマ:『日めくり子規・漱石 俳句でめぐる365日』

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