2018年09月13日 15:30 〜 17:00 10階ホール
「グラミン日本」設立会見

会見メモ

写真左=百野公裕 グラミン日本理事・COO 右=菅正広 グラミン日本理事長(明治学院大学教授)

グラミン日本

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)

 


会見リポート

日本の貧困解消の一助に

鈴木 祐子 (日本農業新聞社論説委員長代行)

 日本農業新聞は食と農をつなぐ観点から貧困や格差の解消に向け、子ども食堂やフードバンクについて積極的に報道している。本社はもともと東京・秋葉原にあり(現在はビル建て替えのため編集局は築地)、ホームレスの人たちやダンボールや空き缶を集めて生計を立てるおじさま、おばさまのまさに隣で仕事をしていた。厳寒の冬などはちょっと心配もしたりした。それだけに6人に1人が貧困という状況に非常に関心があった。ユヌス博士は以前、飢餓撲滅についてインタビューをしていただけに、グラミン日本の立ち上げは興味があった。

 菅正広理事長は、親の年収が高いほど子は大学に進学し、教育資金は年収に比例する――という資料を示した。この現状は大学生の息子を持つ親としてよく分かる。うちの息子は浪人をしたが、「足元を見ているのか」と思うほど予備校の費用は高い。高額な費用を払わないと大学を受ける資格さえ得られないのか。親の収入によって、子の人生が選別されていると痛感した。

 そんな選別の中で今の社会が築き上げられているとしたら、農業農村はどんな位置にあるのだろう。今回のグラミン日本は首都圏の貧困層解消がメインだっただけに、地方への積極的な展開を期待したい。借り手の就労支援にも注力するのであれば、労力不足が深刻な農業も選択肢に加えてほしい。シングルマザーと農業のコラボで新たな6次化商品が生み出せるチャンスにもなるからだ。

 ただ、融資を受けるために5人一組の互助グループをどう作るのか。貧困家庭は点で存在している。どう横の連携をとり声なき声を拾うのか。そこが課題ではないかと思う。

 誰もが自分らしく生きていきたい。それが経済的な条件で左右されることはあってはならない。グラミン日本の設立には大きな意義がある。


ゲスト / Guest

  • 菅正広 / Masahiro Kan

    日本 / Japan

    グラミン日本理事長 / President, Grameen Nippon

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