2018年06月12日 11:00 〜 11:45 10階ホール
グアハルド・メキシコ経済相 会見

会見メモ

メキシコのイルデフォンソ・グアハルド・ビジャレアル(Ildefonso Guajardo Villarreal)経済相が会見し、「包括的および先進的な環太平洋連携協定」(CPTPP)の展望などについて話した。

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)


会見リポート

「米国第一」の隣国 冷静に影響語る

上杉 素直 (日本経済新聞社コメンテーター)

 米国が離脱した11カ国による環太平洋経済協力協定(TPP)をいち早く批准したメキシコ。グアハルド経済相は記者会見の冒頭でTPPの意義を改めて強調するとともに、年内の発効に期待を示した。TPPを経済外交の軸に据える日本にとって、メキシコは頼もしいパートナーなのだと感じさせられた。

 トランプ大統領の「米国第一」の乱暴な通商政策で国際社会は振り回され続けている。隣国のメキシコはさぞや大きな怒りと不満を抱えているのだろうと思っていたが、グアハルド経済相の語り口も内容も予想を裏切る冷静さだった。北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しについては「近代化を強力に進めている」「北米の投資家が安心できる合意を目指したい」と前向きに表現していた。

 「金融市場はホワイトハウスの言動に反応するが、メキシコへの投資に及んだ影響は1社がプロジェクトをやめただけだ」と指摘。トランプ氏が大統領選で唱えたメキシコ国境の壁については「壁を造るより互いに協力する方がよいのではないか。米国内で米国が何をするかは主権があり、尊重する。しかし、その壁に1ペニーたりとも支払うつもりはない」と断じた。メキシコから米国に移る人よりも、米国からメキシコに戻る人が増えている現状も明らかにした。

 記者会見で最も印象的だったのは、最近の「貿易戦争」への見解を問われたときの発言。「イノベーションやグローバリゼーションに伴って脇に追いやられた人たちへの政策面での対応が不十分だった。米大統領選の結果はどうあれ、開かれた貿易に違和感を覚える人たちが厳然と存在しているのは確かだ」。友好国からの輸入品に高い関税を課す米国のやり方を非難しつつ、世界が直面する問題の本質を率直に語った。


ゲスト / Guest

  • イルデフォンソ・グアハルド・ビジャレアル / Ildefonso Guajardo Villarreal

    メキシコ / Mexico

    経済相 / Secretary of Economy

ページのTOPへ