2018年06月11日 12:00 〜 13:00 10階ホール
マハティール・マレーシア首相 会見

会見メモ

マレーシア独立以降初の政権交代で15年ぶりに首相に返り咲いたマハティール・ビン・モハマド(Mahathir bin Mohamad)氏が会見した。

 

司会 原田亮介 日本記者クラブ理事長(日本経済新聞)


会見リポート

92歳、元気もやる気も十分

 マレーシアの首相として当クラブでの会見は4回目。前回は98年10月で、自ら引き立て後継と目されたアンワル副首相を電撃的に解任し内外を驚かせたひと月後だった。

 15年ぶり92歳で首相復活を遂げ再び内外を驚かせたのも、同氏とナジブ政権打倒で手を結び野党を束ねたことに始まるから因縁めく。

 お肌の変化は、声は、仕草は? シカと見届けるべく最前列席へ。

 「国民は前政権が気に入らなかった。非常に抑圧的で間違った方向にいっていた。国民は政府から何の支援もないと感じ、債務はあまりにも大きかった」と勝因を分析した。

 債務はGDP(国内総生産)の8割に上るとされ、ギリシャ危機化への懸念には「十分な貯蓄がある。何とか再建してゆきたい。97年も悲惨な金融危機を乗り越えることができた」と手腕に自信を見せた。

 会見を通して一貫して感じられたのが、国の再建と自由な貿易・通商体制による繁栄への強い信念だ。

 前政権の過度な対中依存も与党敗因の一つとされるが、「マレーシアは小さな国。反対しても中国は中国の考えで一帯一路を進めていくだろう。マレーシアのために中国を最大限活用していく」と対中批判はせず、日中の対立軸を作りたがるメディアの手に乗ることなく、あらゆる国との友好と貿易拡大を強調した。

 前政権の政策を次々と見直す中、日本に学ぶルックイースト(東方)政策の再活性化を就任後早々と表明している。会見では61年の初訪日の思い出に始まり、短期間で戦後復興を遂げた日本への尊敬を語り、その成功には「恥の精神」が大きかったとする見解を披歴した。

 「昔はそのためにハラキリをした。今はしないかもしれないが、恥ずかしいと思う精神が何をしても質が高く、ことを早く成し遂げ、それにより成長し、世界の中で競争をしていける存在になったのではないか」と語る。地盤沈下する日本へのエールとも思えた。訪日100回を超す知日・親日家。再登板を日本も好機にしたいものである。

 92歳の勝利は高齢化社会に勇気を与えてくれるとの質問者の言葉に「高齢化は年齢と生物学的変化の2つの側面がある。変化は早い人も遅い人もいる。私は後者の方であなたの質問も聞けたし答えることもでき、ボケていない」とニッコリ。

 最前列での目撃とも一致。ゆったりした所作とよどみない語り口は終始変わらず、中身から往時の鋭さより円熟ぶりが伝わる。元気もやる気も十分。かつての政敵で先ごろ恩赦・釈放されたアンワル氏に2年以内の政権禅譲を約束している。けれどこの勢いでは、同氏が「我慢の子」で待てるか少々心配になった。


産経新聞出身  千野 境子

ゲスト / Guest

  • マハティール・ビン・モハマド / Mahathir bin Mohamad

    マレーシア / Malaysia

    首相 / Prime Minister

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