2018年03月08日 15:00 〜 16:00 9階会見場
アイマン・アリ・カーメル 新駐日エジプト大使 会見

会見メモ

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 大野理恵


会見リポート

日本への感謝と期待 大統領選で「国民は安定望む」

出川 展恒 (NHK解説委員)

 昨年10月に着任したカーメル駐日エジプト大使による初めての記者会見の焦点は、日本との二国間関係の強化に置かれた。カーメル大使は、長年にわたる両国の友好協力関係を振り返った上で、今年12月には、日本のODAにより、カイロ近郊のギザで建設が進められてきた「大エジプト博物館」が、仮オープンを迎えること。また、9月からは、日本の小学校で実践されてきた礼儀や規律を重視する道徳教育を、エジプトの小学校でも試験的に導入することになったことなどを紹介し、感謝を表明した。

 さらに、新たな投資法の導入により、外国企業の投資環境が大幅に改善したことを、プロモーション映像を使いながら熱っぽく語り、日本企業による積極的な投資を呼びかけた。そして、2011年の「エジプト革命」以来落ち込んだままとなっている、日本からの観光客数を回復させることが、自らの最重要課題であると強調した。

 質疑では、観光客が遠のく最大の原因となっているイスラム過激派による相次ぐテロ事件への対策について、顔認識システムなど日本の最新技術を導入し、全力で取り組むと述べた。

 一方、3月下旬に投票が行われる大統領選挙について、現職のシーシ大統領の対抗馬となりうる立候補予定者たちが、軒並み撤退を表明したり、逮捕されたりして、公正で民主的な選挙が期待できないという指摘があるという質問に対し、カーメル大使は次のように答えた。「革命後のエジプトは、幾多の難問を抱え、統治が極めて困難である。国民の多くは、安定した発展を望んでおり、シーシ大統領に信頼を寄せている。立候補予定者の多くは、有権者の十分な支持を受けられないことを悟り、身を引いたのではないか。来たる大統領選挙が完全に公正で透明性のある形で行われるよう見守ってほしい」。

 アラブ世界全体に大きな影響を与えるエジプトだけに、今後の政治経済の動向から目が離せない。


ゲスト / Guest

  • アイマン・アリ・カーメル / Ayman Aly KAMEL

    エジプト / Egypt

    新駐日エジプト大使 / Ambassador to Japan

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