会見リポート
2017年11月01日
14:00 〜 15:00
10階ホール
第31回日本エイズ学会 会見 「エイズ対策最前線 PrEPって何?」
会見メモ
「HIV治療薬を感染予防のために服用するPrEP、PEPが注目されるが、費用が課題。常用すれば月10万円も」(生島氏)。「HIVはもはや死の病ではなく社会生活を送れる。しかし家族や友人の理解は得られても一般的にどうか。就職面接で落とされたケースも」(高久氏)。
司会 宮田一雄会員
写真左=高久氏、右=生島氏
会見リポート
新たな予防法「PrEP」
藤沢 美由紀 (毎日新聞社医療福祉部記者)
今年の日本エイズ学会学術集会・総会は11月24~26日に開かれる。会長を務める特定非営利活動法人ぷれいす東京の生島嗣(いくしま・ゆずる)代表と、連動して開催されるイベント「TOKYO AIDS WEEKS」の高久陽介事務局長が会見した。
生島会長は、HIV予防の新たな選択肢として注目される「PrEP(プレップ、曝露前予防)」について主に説明した。PrEPはHIVに感染していない人が、HIVに曝露する前から抗HIV薬を投与することにより、感染を防ぐことをいう。海外では有効性が実証され、WHOも公式な予防法として推奨しているが、国内では高額な費用など課題が多く、服薬の環境は整っていない。
生島会長は、アジアを中心に訪日外国人が増加しており、PrEPを服用している人もその中には含まれていると想定されることなどから、「アジア全体で取り組む必要がある」と指摘した。学会では海外の専門家を招き、PrEPに関するシンポジウムや講演も行われる。
この他、HIV陽性者でもウイルス量が検出限界未満であれば、コンドームなしの性交渉でもHIVの感染はほぼゼロという海外の研究結果を紹介。「適切に治療していれば陽性者も感染源とはならない」と述べ、HIVを巡る医療の進歩を強調した。
高久事務局長は、エイズ対策の現状について説明するとともに、イベントについて紹介。今年のスローガンは「UPDATE!エイズのイメージを変えよう」。シンポジウムや勉強会だけでなく、映画の上映やライブなどもあり、市民が認識を新たにする好機会となりそうだ。
ゲスト / Guest
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生島嗣 / Yuzuru Ikushima
第31回日本エイズ学会会長 / Chairman, The 31st Annual Meeting of The Japanese Society for AIDS Research
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高久陽介 / Yosuke Takaku
東京エイズウィークス2017事務局長 / Secretary General, Tokyo Aids Weeks
研究テーマ:HIV/エイズ