2017年06月07日 14:30 〜 15:15 10階ホール
カエタノ フィリピン新外相 会見 ※時間が変更になりました。ご注意ください。

会見メモ

カエタノ氏は下院、上院議員などを務め、2016年5月の正副大統領選でドゥテルテ氏とのペアで副大統領選に出馬し落選した。ドゥテルテ政権発足から外相を務めたヤサイ氏が米国市民権を巡り虚偽の説明をしたとして今年3月に失職。空席だった外相のポストに、5月18日、比歴代外相として最も若い46歳で就任した。

司会 土生修一 日本記者クラブ専務理事

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

熱い国の冷静な外相

神田 大介 (朝日新聞社国際報道部)

難航するミンダナオ和平、中国と利害が衝突する南シナ海の問題、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う組織の台頭など、内外に課題が山積するフィリピン。カエタノ外相は5月、前任者の退任を受けて就任したばかりだ。

 

ドゥテルテ大統領と選挙中からタッグを組み、腹心と言われる。ドゥテルテ氏と言えば数々の直言、暴言で話題をさらう人物。さてカエタノ氏はどんな人なのか。日本記者クラブでの会見で見せた姿は、意外にも冷静な外交官そのものだった。

 

国内に存在するISの規模を尋ねた質問には、5月23日に南部ミンダナオ島に出した戒厳令の必要性や、複数の組織が入り乱れる同島の状況を、まずは丁寧に説明。その上で、「実際に何人いるのかは不明」「通常と異なり、部隊や戦車の数として把握できるものではない」などと慎重な回答に徹した。

 

独立闘争を長年にわたって続けてきたが、日本政府の仲介もあって2014年に和平合意に署名したモロ・イスラム解放戦線との和平プロセスの現状を尋ねる質問には、「日本の支援は辛抱強く、一貫性がある」「日本は懸け橋役だ」とホスト国への謝意を強調した。

 

南シナ海については、「フィリピンの領土は一歩も譲らない」と前置きをした上で、領有権を主張する国はフィリピンと中国の他にもベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾と多いことを強調。フィリピンは東南アジア諸国連合(ASEAN)の今年の議長国で、「地域の平和と安定が最優先。中国への対決姿勢に出れば、他の国にも同じく対決姿勢を取らなければならない」とした。中国から多額の財政融資を取り付けて以来、権利の主張を控えるドゥテルテ氏への批判を意識した発言だ。

 

なるほど、奔放なトップにはカエタノ氏のような補佐役が必要だろう。そう感じた会見だった。


ゲスト / Guest

  • アラン・カエタノ / Alan Peter Cayetano

    フィリピン / Philippines

    外相 / Foreign Minister

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