2017年03月03日 13:00 〜 14:30 10階ホール
松尾豊 東京大学大学院工学系研究科特任准教授 「AIと日本企業の競争力」

会見メモ

AIと日本企業の競争力

近著に『人工知能は人間を超えるか? ディープラーニングの先にあるもの』もある、人工知能(AI)研究の第一人者。「AIと日本企業の競争力」をテーマに語った。もの作りが得意な日本は「ものを売ることから脱却し、『眼をもった機械』による新たな産業競争力の実現へチャンスがある」。

 

司会 水野裕司 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

コンピューターが眼を持った 日本はチャンスを生かせるか

松尾さんは多忙な研究者だが、人工知能(AI)学会の倫理委員長も務め、この2月末に倫理指針をまとめた。指針の9条は「人工知能も倫理指針を遵守する」と定め、人と同じとみなしている。

 

「今は第3次のAIブームで、ディープラーニングが特徴だ」という。ブームの理由を「コンピューターが画像を認識できるようになった、つまり、眼を持ったことだ」と説明。「機械(ロボット)が眼を持てば、農業や建設、調理など幅広い分野で活用できる」と語った。

 

話が急に「カンブリア爆発」に変わった。爆発とは、5億年以上前に多様な生物が一気に出現したことを指す。眼を持つ生物、三葉虫の出現が多様性をもたらしたという学説を紹介。生命史で起きたことが今、人間社会で起きようとしていると言うのだ。

 

会見のタイトルは「AIと日本企業」。もの作りが得意な日本には「チャンスがある」。たとえば「片付けロボットは、家庭でもオフィスでも必要だから、車よりも多くつくられる」。

 

では「チャンスを生かせるのか」。松尾さんの目には、現状は「動きが遅い」「戦略がダメ」。政府も大企業もまだ、従来のAIと今のディープラーニングの違いさえ、きちんと認識していない。

 

若い人は半年から1年でディープラーニングを使えるようになる。大学院卒の28歳ぐらいが一番、活躍する。「若い人に任せることが大事」と訴えた。

 

質問に答えて「『おいしい』『おもしろい』の判断はAIにはできない。テスターは人間の仕事」と、新しい職業が生まれる可能性を示した。

 

最後に倫理指針に触れて「ウィットが効いているでしょ。9条にしたのは憲法をちょっと意識した」。最前線の研究者なのに心に余裕がある。確かに若い人に任せる方が良さそうだ。


東京新聞論説委員 井上 能行

ゲスト / Guest

  • 松尾豊 / Yutaka Matsuo

    日本 / Japan

    東京大学大学院工学系研究科特任准教授 / a project associate professor at the University of Tokyo

研究テーマ:AIと日本企業の競争力

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