2017年03月02日 14:00 〜 15:30 9階会見場
「トランプ政権:米国と世界の行方」(4)「一つの中国」政策 福田円 法政大学准教授(中国外交、中台関係)

会見メモ

トランプ政権:米国と世界の行方 (4)

台湾留学経験もある中台関係の研究者。「中国の『一つの中国』原則と米国の『一つの中国』政策にはズレがあるのに日本では混同されている」と指摘。トランプ・蔡英文の電話会談は「これだけで米国が従来の中国政策から逸脱したと判断するのは困難」と。

 

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

「一つの中国」――「原則」と「政策」は違う

中国の「一つの中国」原則と米国の「一つの中国」政策は違う。予測不能なトランプ外交は危うく、特に対中政策の転換は武力衝突のリスクさえ伴うが、「原則」と「政策」の違いをきちんと理解しなければ転換点を大きく読み違う懸念がある。福田准教授は会見の冒頭、その点を指摘し、記者の勉強不足に警鐘を鳴らした。「明らかに原則と政策を混同している記事が多いことに驚いた」

 

昨年12月2日、トランプ次期米大統領は台湾の蔡英文総統と電話会談した。1979年の米台断交以来、双方のトップ同士が直接会話するのは初めてであり、その事実そのものが世界を驚がくさせた。2月9日、トランプ氏が中国の習近平国家主席と電話会談するまで「一つの中国」をめぐる多くの記事が掲載されたが、福田氏は全国紙の全ての記事を調べた上で、「混同」の多さを指摘した。耳の痛い話だが、事実である。

 

中国の「一つの中国」原則は、中国は一つであり、中国とは中華人民共和国を指し、台湾は中国の一部とする主張だ。米国はこの原則を全面的に受け入れているわけではない。日本も同じだ。英語表記は「acknowledge」。あくまで「認識」「尊重」であり、中国の主張を承っておくというニュアンスに近い。米国は台湾と政治的に断交しているが、武器輸出などの経済交流は続いている。これが米国の「一つの中国」政策である。一部報道にあるように、トランプ氏が蔡英文氏に「一つの中国原則に縛られないとの認識を示した」というのは恐らく誤報だ。

 

いずれにしろ福田氏は会見で、「原則」と「政策」を見事に整理してくれた。北京特派員時代に混同して記事を書いた経験を持つ記者の1人として極めて有意義で貴重な「講義」だったと受け止めている。


企画委員 西日本新聞社東京編集長 傍示 文昭

ゲスト / Guest

  • 福田円 / Madoka Fukuda

    日本 / Japan

    法政大学准教授 / Associate Professor, Hosei University

研究テーマ:トランプ政権:米国と世界の行方

研究会回数:4

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