2016年03月30日 16:00 〜 17:00 10階ホール
鈴木直道 夕張市長 再生策会見

会見メモ

2007年3月に財政再建団体(2010年から財政再生団体)に移行し10年がたつ夕張市の鈴木直道市長が会見し、記者の質問に答えた。
司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

夕張から自治体再生モデルを

市民に「夕張に住んでよかったと言ってもらえるように」「財政が再建しても地域が滅ぶようでは、再生を果たしたことにならない」。それは鈴木市長の再生へ向けた決意だった。

 

夕張市が財政再建団体(現・財政再生団体)になることが決まった2006年、私は2度ほど夕張を取材した。当時、私の目に飛び込んできたのは、空き家の旧炭鉱住宅に、日曜日にもかかわらず人がほとんどいない遊園地、雑草が茂る造成地だった。身の丈に合わない投資と「誰かがやる」「いつかやる」という典型的な先送り行政が招いた結果に、取材した市民からは「今更ワーワー言っても」「不安でいっぱい」「年寄りは行くところがない」と諦めとも取れる言葉。そこにあったのは、あすへの希望も持てない、まさに「底に沈んだ自治体」の現実だった。

 

あれから10年。夕張の再生は東京都職員として派遣され、5年前、全国最年少で市長に当選した鈴木市長に託された。「再生は第二ステージに入った」と、力強く語る姿は人件費の削減、学校統合や公共施設の閉鎖と、着実に借金を返済する実績に裏打ちされている。「コンパクトシティー」を掲げ、職員が1軒1軒を説得し200世帯が中心部に移住したほか、旧炭鉱を生かした炭素メタンガスの活用や、企業版ふるさと納税への期待など将来を見据えた「次の一手」も披露された。

 

それでも、人口減少は想定を上回るペースで今も続いており、現在9000人弱の人口が2040年には4500人にまで減少するという。厳しい状況に変わりはないが、鈴木市長が掲げる再生第2ステージのキーワードは「夢」「つなぐ」「未来への投資」。

 

今、市民からは、超過税率など負担の解消より将来世代への施策を求める声があがっているという。そして「(全国最低の)職員の給与を上げてやってくれ」と市民から声が上がったことを、鈴木市長がうれしそうに語っていたのが印象的だった。

 

その一方で、東京五輪という「祭りのあとの都市形成」を、住民を含めて冷静に議論する必要があると訴えた。財政再建の最前線に立つ首長だからこそ、説得力があった。

 

夕張の再生期間は24年。まだ、道半ばだ。全国で少子高齢化、人口減少に悩む自治体は多い。鈴木市長の言葉からはいつか「夕張発の自治体再生モデルを全国へ発信したい」という熱い思いが込められていた。夕張の地には確実に再生の芽が芽吹いている。


読売テレビ報道局(東京駐在) 宮澤 真史

ゲスト / Guest

  • 鈴木直道 / Naomichi Suzuki

    日本 / Japan

    夕張市長 / Mayor, Yubari City

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