2016年03月04日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「3.11から5年」⑫黒川清 元国会事故調委員長

会見メモ

3.11から5年 (12)

国会事故調の委員長を務めた黒川清氏が会見し、記者の質問に答えた。
黒川氏の新著『新著『規制の虜 グループシンクが日本を滅ぼす』(講談社)が3月10日に刊行される。
司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
黒川氏ブログ


会見リポート

失敗から学ぶ姿勢あるのか 変わらぬ日本に強い危機感

恒例のゲストブックに「グローバル世界はどんどん変わる 日本はどうする フクシマから何を学ぶのか?」としたためた。

 

2000年前後、米国帰りの型破りな東京大学医学部教授、東海大学医学部長として、厚生労働省の審議会で移植医療の見直し論議をリードした黒川清さんだが、近年はもっぱら東京電力福島第一原発事故をめぐる国会事故調査委員会(国会事故調)の元委員長として、各国の研究者らから講演を求められている。

 

日本記者クラブでの登壇も今回が7回目で、うち5回は原発事故後。つまり、ここ5年は毎年国会事故調絡みで話をされているのである。メッセージの基調は毎回同じだった。「日本は変わっているのか?」。明らかに反語的な問いかけである。

 

「日本の憲政史上初めて、国会が作った民間人による独立調査委員会」を率い、実質半年ほどで大部な報告書をまとめた。

 

38人を委員会に呼んでヒアリング、ほかに1167人から900時間のヒアリング、9カ所の原発と海外視察、避難者1万633人からのアンケート、現場作業員2415人からのアンケート、3カ所でのタウンミーティング、委員会や報告書のウェブ上での常時公開――。成し遂げたことへの自負がにじむ。

 

だが「スポンサー」である立法府に対して、①原子力規制の在り方の立法府による監視②政府の緊急事故対応の見直し③住民の安全、健康に対する政府の責任④原子力発電にかかわる事業者の監督⑤新しい原子力規制機関の在り方⑥原子力にかかわる法律等の改正⑦今回のような独立調査委員会の活用――の7つを提言したものの、実施に向けた計画さえ作られていないことが無念でならない。

 

原発事故の根本的な原因を、失敗から学ぶ前向きな姿勢・態度が弱いこと、さらには責任の所在が不明確で、ご都合主義でごまかしを続けがちなことに求める。

 

社会的な流動性が低く、組織内での純粋培養、単線路線が強い日本式システムでは「グループシンク(集団浅慮)」が幅を利かせ、異論が出にくいからとみる。

 

中根千枝の『タテ社会の人間関係』をはじめ、原発事故や日本社会を考えるうえで参考になる内外の書籍を挙げた。最新著作『規制の虜 グループシンクが日本を滅ぼす』(講談社)はさらに詳しい。

 

「○○新聞社員」ではなく、本当のジャーナリストたりえているか。グループシンクにまどろんではいないか。そうした切っ先をたびたび感じる会見だった。


朝日新聞東京本社論説委員 大牟田 透

ゲスト / Guest

  • 黒川清 / Kiyoshi Kurokawa

    日本 / Japan

    元国会事故調委員長 / Former Chairman, The National Diet of Japan Fukushima Nuclear Accident Independent Investigation Commission

    研究テーマ:3.11から5年

    研究会回数:12

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