2015年08月19日 15:00 〜 16:30 9階会見場
鈴木宣弘 東京大学大学院教授 「TPP」①

会見メモ

東京大学大学院の鈴木宣弘教授が「TPP閣僚会合の評価と農業への影響」というテーマで話し、記者の質問に答えた。

スピーチ資料


会見リポート

「日本はもう少し頭を冷やしたらどうか」

中村 秀明 (毎日新聞論説委員)

近著『食の戦争』(文春新書)ではTPP(環太平洋経済連携協定)の本質をデータや裏話を紹介しながら暴いた。自国の利益追求に「自由化」の大義名分を利用する米国の国家戦略である、と。

 

会見でも、豊富なデータと多角的な視点で、7月末の閣僚会合決裂を分析した。

 

ニュージーランドの「心変わり」が元凶と言われる中、日本が最大の利益を得るはずの「自動車の原産地規則」も合意できず、医薬品特許の保護期間でも対立が解けなかったという。

 

ニュージーランドの主張も「乳製品は最大の輸出品目で、譲らないのは理にかなっている」と述べた。むしろ、それで「戦犯」扱いされるようでは「TPP自体が筋の悪い、無理な協定なのだ」とも。さらに専門の農業分野に話が及ぶと、一段と舌鋒鋭く、声のトーンも上がった。

 

もちろんTPPがあろうがなかろうが、日本の農業は疲弊している。政治が思考停止の対米従属をやめ、長期の広い視野に立った政策を練るよう提言しつつ、「最後は国民の選択だ」と語った。その意味で、国民が農業を支えることを選んだスイスの事例紹介が非常に興味深かった。


ゲスト / Guest

  • 鈴木宣弘 / Nobuhiro Suzuki

    東京大学大学院教授 / Professor, Graduate school of agricultural and life sciences, The University, of Tokyo

研究テーマ:TPP

研究会回数:1

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