2014年03月20日 15:30 〜 17:00 10階ホール
研究会「ウクライナ」下斗米伸 法政大学教授

会見メモ

下斗米伸夫・法政大学教授が、現在のウクライナ情勢について、同地域のこれまでの歴史をふまえ解説した。

司会 杉尾秀哉 日本記者クラブ企画委員(TBS)


会見リポート

「新冷戦」をこえて

石郷岡 建 (毎日新聞出身)

注目のウクライナ情勢について、歴史的に大きく俯瞰し、刺激的に説明してくれた。キーワードは、サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』とフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』のふたつの本のタイトルだった。前者はソ連崩壊後の世界秩序は安定ではなく、文明の対立が起きると主張。後者は民主主義と自由の勝利で冷戦は終結し、平和と自由の時代に入ったと分析した。


下斗米さんは、今回のウクライナ騒動がロシア正教とカトリック教という東西ローマ帝国の歴史を引き継ぐ文明の「断層線」に起きたと指摘し、結果的にハンチントンの主張が現実になり、フクヤマの分析は間違っていたと語った。


そして、ロシアは欧米文明とは異なる道を目指し、G8を抜け出る覚悟を決めた。代わりに、BRICSやG20など多極化世界に生きる道を考えている。イデオロギー対立の冷戦ではなく、文明的価値観の対立の時代の到来である。ロシアは、西の欧州から東のアジアへと向かう。「脱欧入亜」の戦略の始まりで、日本はチャンスと捉えるべきだと主張した。歴史と文化と長期的観点から現代を考える重要性を示してくれた講演だった。


ゲスト / Guest

  • 下斗米伸夫 / Nobuo Shimotomai

    日本 / Japan

    法政大学教授 / Professor of Hosei University

研究テーマ:ウクライナ

研究会回数:2

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