会見リポート
2013年09月30日
10:30 〜 12:00
10階ホール
マイケル・クラーク 英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)所長
会見メモ
英国の王立防衛安全保障研究所(RUSI)アジア本部(東京)の創立1周年を記念して開かれる、「日英安全保障会議2013」に出席のため来日した、クラーク所長が会見した。
昨年、日英間で防衛・安全保障分野での協定が結ばれ、協力関係が深まる中、①グローバル化の新たな環境に見合うルール作り、②ハードとソフトパワーの適切なバランスの見直し、③憲法(日本)、議会(英国)の制約を受ける中での軍事力の行使問題の3点を共通課題として取り組むべきだとした。
司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
米国の影響力低下 世界の安全保障はハードとソフトで
津屋 尚 (NHK解説委員)
ともに自由貿易に支えられた民主的な海洋国でアメリカの強固な同盟国─多くの共通点を持つ日本とイギリスは、安全保障面の関係を着実に強めつつある。その仕掛け人の1人がRUSIを率いるクラーク所長その人だ。この高名な研究者は「中国の海軍政策が今後30年のアジアの安全保障を決定づける。海洋の安全を単独で守れる国は存在しない」と述べ、日英協力の重要性を説いた。
さらに俯瞰して、世界の潮流も説いてみせた。世界はいま、ハードパワー(軍事力)だけを振りかざして物事を解決する時代ではなくなり、どの国も外交や経済力などソフトパワーも適度にミックスさせなければならない、と。シリア問題への対応からアメリカの影響力低下もささやかれるが、クラーク氏は「アメリカは今後、必ずしも軍事行動をリードしなくなっていく。シェールガスなどを背景に世界でのリーダーシップの新しい発揮の仕方を模索しているのだ」と分析した。
ならばその同盟たる日本はどうするのか、クラーク氏はこう表現した。「日本はソフトパワーに集中してきたが、ハードパワーの行使を検討せざるを得なくなっている。大切なのはそのバランスだ」
ゲスト / Guest
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マイケル・クラーク / Michael Clarke
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)所長 / Director General, Royal United Services Institute for Defence and Security Studies