2013年07月16日 14:00 〜 15:30 10階ホール 
マイケル・グリーン氏、カート・キャンベル氏 記者会見

会見メモ

カート・キャンベル前米国務次官補とマイケル・グリーン・元米国家安全保障会議アジア部長(現・戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長/アジア・日本部長)が会見した。二人は6月にシンクタンクの日本再建イニシアティブの特別招聘スカラーに就任したばかり。日本のとるべき戦略ビジョンについてそれぞれの考えを述べた。

二人とも、日本経済の建て直しが最重要課題であり、アベノミクスの3本目の矢とTPP交渉の行方に注目している、という。

グリーン氏:「アベノミクスの二本の矢で、日本経済は勢いがつき、世界の信任を得ている。参院選後、マーケットは経済成長に大きな影響を与える3本目の矢のうち、規制緩和策などを通じ、持続可能な成長ができるかどうか注視している」

キャンベル氏:「日本は経済の重要なアジェンダが山積みになっている。3本目の矢はこれまでの2本よりもはるかに大事である。TPP交渉では、日本の立案と実施能力が試される。交渉は最後の局面に入り、それぞれの課題をどのように克服していくかが焦点になる」

司会 日本記者クラブ企画委員 軽部謙介(時事通信)

通訳 澄田美都子(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

「良心的知日派」の処方箋に期待

ニクソン政権が沖縄返還の方針を決めた「国家安全保障決定メモ13号」のように、米政府は統合的な対日政策をまとめることが多い。ホワイトハウスや国務省の中枢にいたキャンベル(左)、グリーン両氏だけに、ワシントンの雰囲気だけでなく内部討議の断片も垣間見えればと期待した。


お二人とも安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」には期待をかけている様子で、経済の復活が日本にとって最優先課題であることを強調。また「韓国との関係がここまで悪化してしまったことに危機感を抱いている」(グリーン氏)というあたりは、様々な含意を込めた安倍政権へのシグナルなのだろう。


時に慎重な物言いだった両氏だが、小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝をめぐって米政府内で集中的な議論が交わされ、最終的にはブッシュ大統領(同)が不介入政策を決めたことや、今年6月の米中首脳会談の際にオバマ大統領が「日本は同盟国であり友人だということを、あなた方は理解する必要がある」と中国側に言い渡していたことなどを明らかにしてくれた。抽象的な議論よりも、こういう「内幕の暴露」に興奮してしまうのはジャーナリストの性か。


両氏はシンクタンク「日本再建イニシアティブ」の特別招聘スカラーとして、新しい戦略ビジョンづくりに参加する。同じく政権中枢にいたジェフリー・ベーダ―氏は近著『オバマと中国』(東京大学出版会)の中で、日本人が米政府高官を「親日」「親中」と色分けすることについて「短絡的」と批判しているが、「良心的知日派による提言」というレッテル貼りが堂々とできるような、中身のある処方箋を両氏に期待したい。


企画委員 時事通信解説委員長 軽部 謙介

ゲスト / Guest

  • カート・キャンベル・前米国務次官補、マイケル・グリーン・元米国家安全保障会議アジア部長 / Kurt M. Campbell, Former United States Assistant Secretary of State, Michael J. Green, Former Senior Director for Asian Affairs at the National Security Council

    アメリカ / USA

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