会見リポート
2013年01月25日
14:00 〜 15:30
10階ホール
研究会「サイバーセキュリティ」「サイバー戦争の実態」土屋大洋 慶応大学大学院教授(国際関係論、情報社会論)
会見メモ
研究会「サイバーセキュリティ」の第一回目。「サイバーセキュリティと国際政治」のテーマで、土屋大洋・慶応義塾大学大学院教授が話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)
土屋教授のホームページ
会見リポート
サイバー空間も新たな作戦領域 情報の安全保障を
臺 宏士 (毎日新聞社会部)
土屋大洋・慶応大教授が、「サイバーセキュリティーと国際政治」をテーマにクラブで研究会を行った。土屋氏の近著『サイバー・テロ 日米VS中国』(文春新書)は刺激的なタイトルだが、2010年にイランの核施設のコンピューターをウイルスに感染させて破壊したのは、米国とイスラエルとの共同作戦だった、と米紙に報じられる今日、陸海空と宇宙に加え、5つめのサイバー空間も新たな作戦領域になっているという。土屋教授は「5つの作戦空間のうち日本が最も他国からの攻撃にさらされているのがサイバースペースだ」と指摘する。
日本でも、米マイクロソフトのOS「ウィンドウズ95」の発売をきっかけにした爆発的なインターネットの普及を背景に、セキュリティーの甘いコンピューターネットワークを狙ったネット犯罪が多発。00年2月には不正アクセス禁止法が施行された。同年1月、同法の施行直前に中国を経由した何者かによって中央省庁のウェブサイトが次々に改ざんされた事件は、政府機関へのテロの脅威を強く認識させた。土屋教授によると、日本政府が国家安全保障上の問題と認識して対応に本腰を挙げたのは、09年に米韓で政府関係のサイトが大規模な攻撃を受けた後の民主党政権になってからだという。防衛省は「サイバー空間防衛隊」を創設するという。
「スパイを(事前に)しっかりやっておかなければインパクトのあるサイバー攻撃はできない」。土屋教授は、そう言い切る。サイバー攻撃は犯罪なのか、戦争なのか。テロなのか。対処する機関も異なってくるが、それをどう判断するのか。そもそもサイバー空間の通信には領海のように無害通航権があるのかないのかもはっきりしておらず、法的な基盤は未整備だという。
土屋教授は「情報による安全保障は、平和憲法を持つ日本にとって不可欠だ」と強調した。
ゲスト / Guest
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土屋大洋 / Motohiro Tsuchiya
慶応大学大学院教授(国際関係論、情報社会論) / Professor, Graduate School of Media and Governance, Keio University
研究テーマ:サイバーセキュリティ
研究会回数:0