2012年10月23日 14:00 〜 15:30 10階ホール
マイケル・クラーク英国王立防衛安全保障研究所所長 記者会見

会見メモ

世界で最も古いシンクタンク、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)が、1月にアジア本部を開設しました。そこで、マイケル・クラークRUSI所長をはじめ、下記の4人のメンバーが東アジアの安全保障などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 高畑昭男(産経新聞)

通訳 池田薫、吉國ゆり(サイマル・インターナショナル)


出席したゲストは、右から

マイケル・クラーク 所長

Prof. Michael Clarke, Director General

サー・ジョン・スカーレット シニア・アソシエイト・フェロー

Sir John Scarlett, Senior Associate Fellow

ジョナサン・エヤル 国際安全保障部長

Dr Jonathan Eyal, Director International Studies

アレキサンダー・ニール 国際安全保障部アジア研究グループリーダー

Alexander Neill, Head, Asia Program

秋元千明 アジア本部 所長

Dr Chiaki Akimoto, Director, RUSI-Japan

RUSI-Japanのホームページ

http://www.rusi.org/japan/


会見リポート

世界最古シンクタンクのアジア進出

高畑 昭男 (企画委員 産経新聞論説副委員長)

英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)という名前を聞いても日本ではピンとこない人が多いが、欧米の専門家で「世界最古の軍事・安全保障シンクタンク」として知らない人はまずいない。


創立以来181年、大英帝国の外交を支え、現代の英外交にも多大な貢献をしている。そのRUSIがクラーク所長ら主要幹部を訪日させたのは、今年初めにアジア太平洋地域を統括するRUSIアジア本部(秋元千明所長)を東京に開設したお披露目の意味がある。


アジア進出の最大の理由は、世界の政治、経済、軍事の重心が欧州からアジア太平洋へシフトし始めたからだ。とりわけ急速な台頭を続ける中国やインドの動向は、いやでも欧州に影響を与えずにはいない。


折りしも尖閣諸島問題などで日中対立が高まっている時期とあって、会場の質問も中国に関するものが多かった。クラーク所長は「長期の外交戦に勝てるだけの能力と国際的地位が日本にはある」と間接的なエールを送って冷静な対応を勧める一方で、日本が「譲れない一線」を明示することの重要性も指摘した。


日本の安全保障の基軸が日米安保体制にあるのはいうまでもないが、英国は米国との緊密な関係に加え、北大西洋条約機構(NATO)や英連邦などを通じて重層的な安保協力関係を築いているという。


日本もそうした経験とノウハウを学びながら、「米国頼み」一辺倒でなしに多角的な協力ネットワークを拡大することで、より深みのある安保政策を構築できるのではないかという期待を感じさせられた。


英国は、自民党政権時からNATOと日本を結ぶ架け橋の役割を果たし、野田佳彦政権下でも防衛協力を拡大中だ。RUSIの進出を機に、官民の人材交流を通じて日英の絆を深められるといい。



ゲスト / Guest

  • マイケル・クラーク / Michael Clarke

    イギリス / United Kingdom

    英国王立防衛安全保障研究所所長 / Director General, Royal United Services Institute for Defence and Security Studies

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