1989年02月01日 00:00 〜 00:00 会見室
金泳三・韓国統一民主党総裁

会見メモ

・・・1月30日、社会党の招きで来日した。副総裁、国会議員ら一行14人を率いる。同行記者もペン、テレビ、スティル合わせて27人。
応接室で、堂々たる筆で見開き2ページを使い「大道無門」と記念署名した総裁に、司会者はテキストのあるスピーチ部分の通訳省略を要請した。韓国語で側近と二言三言かわして、「よろしいでしょう」。
この結果、たっぷり1時間が質疑応答に当てられた。日本語の質問は訳す必要がなく、答弁だけの片道通訳なので、全体で16問余りの質問がとびかい、このやり取りを聞くだけでも政治家・金泳三の力量や人となりがうかがえる。
最初の方で、共同海外部の禹美淑記者が、スピーチの中にあった「南北統一のため同党が準備中の2法案」の内容に迫った。イタリアのANSA通信のマッジ支局長も日本語で、この問題をフォローアップし、2人のコンビネーションで「南北連絡機構の設置提唱」のニュースを掘り起こした。
スピーチで「接近方法の論議段階を越え、統一政府樹立へ向けた具体的方法を選択する段階に入った」との認識を示した総裁は、両記者の質問に答える中で、「理念が異なる2つの国を同質化させるには、南北双方の議員や学者だけでなく幅広い層の代表からなる連絡機構をつくり、一歩一歩統一に向けて前進することが大事」との考えを明らかにし、これを法案の基本にしたいとした。
また、後で共同の村岡記者が、総裁がかねてから提案している「6か国議員協議会」の関連で訪中、訪ソ計画をただしたのに対して、それには具体的に答えず「近い将来に平壌を訪れ金日成主席と直接話し合いたい」との意向も表明した。
このほか韓国の国内政治、北方外交などに加え、日本の軍事力をどう思うかとか、大家族制の下での韓国女性の地位問題など、質問は広範に及んだ。
最後にクラブから記念の万年筆を贈ると、「これを書いてきました」と『自由』と大書された立派な額を。総裁とは旧知の司会者が「自由民主党じゃありませんね」(笑い)。(保守化野党への批判の高まりについての質問に、総裁は「統一民主党は右から左まで総網羅した国民政党である」と胸を張っていた)・・・

 

日本記者クラブ会報1989年3月号12ページから引用)

会見音声


ゲスト / Guest

  • 金泳三 / Kim Young-sam

    韓国 / South Korea

    韓国統一民主党総裁 / President of Democratic Reunification

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