会見リポート
2008年01月31日
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明石康・スリランカ担当政府代表
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会見詳録
会見リポート
馬の耳に念仏
植田 粧子 (共同通信外信部)
「当事者が『平和を選ぶ』ということでなければ、外から何を言っても馬の耳に念仏だ」
02年から和平プロセスの仲介を担当する明石康・日本政府代表の言葉は、挫折を繰り返しながらも取り組んできた和平交渉が後退したことへの恨み節のようにも聞こえた。
協定失効前の1月13日から15日、明石代表はスリランカを訪問し、ラジャパクサ大統領らに対話による政治的解決を訴えた。しかし政府は協定を破棄、LTTEへの軍事攻撃を強める構えだ。
一部の日本メディアは「仲介は失敗だった」と報じた。この指摘に対し、明石氏は「平和構築には長い道のりが必要だ。その覚悟を持って当たらなければならない」と語り、今後も米国やノルウェー、欧州連合(EU)と協力し、抜本的な和平協定の締結を目指し仲介を続けていくとの考えを示した。
政府軍関係者によると、LTTEの残存勢力は約6千人。政府側はその3─4倍の軍事力を保持しているという。LTTEは弱体化しているとの見方が強いが、明石氏は「政府軍が拠点へ本格進攻すれば、LTTEはタミル民族生き残りのため必死に抵抗し、戦闘が泥沼化する恐れもある」と指摘する。
「息の長い取り組みだが、日本らしいかかわり方をこれからも続けていく」
次回のスリランカ訪問日程は未定のようだが、心は常に現場にあるようにみえた。穏やかな表情の中に、強い決意がにじんでいた。
ゲスト / Guest
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明石康 / Yasushi AKASHI
スリランカ担当政府代表 / Special envoy to Sri Lanka