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被災者に寄り添う報道に注力(愛媛新聞社編集局報道部副部長・二宮 京太郎)2018年8月

 愛媛県内で避難指示が出始めていた7月6日夜、翌日の警戒態勢を話し合って帰路に就いた。車のフロントガラスに流れる雨を見ながら、猛烈というほどではないな、と思った。正直、県内で26人死亡、行方不明2人(7月27日現在)という事態になるとは想像もしていなかった。

 

■高速艇で島に記者派遣

 

 翌朝出社し、夜勤の記者から引き継ぎを受けた。大きな被害はないと聞いてほっとしたのもつかの間、次々と土砂崩れの情報が入りはじめ、「3人不明」の一報に接し、衝撃を受けた。県警担当の記者からすぐに「小学生2人と母親」と連絡があり、胸がふさがった。

 

 急いで船の時刻表を確認した。現場は松山市沖の島だ。県警キャップら記者2人に高速艇で行ってもらった。島に宿泊施設はなく、2人はその後、合流したもう1人の記者と車中泊することになるのだが、気を回す余裕はなかった。県内各地の被害情報が続々と入ってくる。「大洲市(愛媛県南部)で大規模な浸水被害」「宇和島市(同)で土砂崩れ、行方不明者多数」「今治市島しょ部(愛媛県東部)で行方不明」―。編集局に設置したホワイトボードに被災現場が列記され、行方不明者や心肺停止の人数が書き足されていく。道路網が土砂などで寸断され、近づくのも困難な現場もあった。

 

 翌日から、被害の大きかった愛媛県南部を中心に、本社編集局のあらゆる部署から記者をできる限り投入、現地の支社・支局と連携して取材に当たった。

 

 発災後に愛媛新聞が特に力を入れて伝えてきたのは、被害の甚大さや犠牲となった命の重み、被災者の置かれた現状だ。被災地に寄り添う記事を掲載するよう努めてきた。給水やごみ収集場所などのライフライン情報も可能な限りきめ細かく伝えている。避難所に新聞を配布し、愛媛新聞電子版も7月7~18日に無料公開した。

 

■元気の出るニュースも届けたい

 

 今後は、被災した方々が一日も早く、適切な形で生活を立て直せるよう復興の現状と課題を伝え、被害発生の原因を突き詰めることが地元紙としての使命だ。少しでも元気の出るニュースも掘り起こし、被災者に届けたい。避難生活が長引くことも予想され、被災者とそうではない県民をつなぐ役割も果たさなければならないと考えている。

 

 地球温暖化による豪雨災害の頻発が予想される中、命を守れるよう、これまでの浸水や土砂災害対策を検証し、提言していく。豪雨だけでなく将来の南海トラフ巨大地震も念頭に、避難者支援の在り方も見つめる。地方の人口減少が進む中で、被災地の復興も大きな厳しい課題となってくるだろう。息の長い取り組みになる。

 

にのみや・きょうたろう▼2000年入社 宇和島支社 報道部県警担当などを経て 14年から現職

 

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