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地域の防災意識改革が急務(山陽新聞社編集局長・岡崎 伸二)2018年8月

 7月5日から降り始めた雨は、時に勢いを強め、やむことなく7日午後まで続いた。

 

 この間の48時間雨量は、県西北部中心に400㍉を超え、岡山県内に25カ所ある測定所のうち、20カ所で過去最多を記録した。

 

 想定外の豪雨は各地で河川を氾濫させ、濁流が次々と家屋をのみ込んだ。死者61人、全壊家屋は2800棟超。岡山県が被災地となる自然災害としては戦後最大級の惨事となった。

 

■本紙記者も真備で被災

 

 被害が集中した倉敷市真備町地区は地区の中心街にある4000戸以上が浸水。2階建て家屋の屋根近くまで水が迫り、取り残された人たちがあちこちで屋根にのぼって助けを求めた。

 

 本紙の支局記者と家族も、その中にいた。同地区にある自宅と両親の家が浸水。刻々と上がってくる水と戦いながら、足の悪い父親を助け、数時間後に消防署のボートで救助されたという。浸水の状況と家族救助の体験談は、10日付朝刊に掲載した。

 

 本社や支社・支局に直接の被害はなかったものの、真備町地区をはじめ、県内にある販売所数店が被害に遭った。道路網も各地で寸断され、数日間は配達できない地域が残った。避難所に新聞は届けているが、それでも読めない人がいる。有料会員サイトも無料開放した。刻々と変わる被災状況や生活情報、ボランティア情報だけでなく、写真や動画でも現状を紹介。数日間で通常の10倍のアクセスがあった。

 

■安否情報の速やかな公開を

 

 取材で頭を痛めたのは、亡くなった人や安否不明者の氏名公表が遅れたことだ。岡山県は個人情報保護の観点から遺族や関係者の了解を優先。5日後から安否不明者名の公表に踏み切ると、生存者が次々と確認され、一時40人以上とされた不明者は一気に3人になった。無駄な捜索や、混乱を避けるためにも、大災害時は安否情報の速やかな公開を求めたい。

 

 県内の避難所では、2500人以上(7月26日現在)が依然、不自由な暮らしを続ける。被災家屋から出された膨大なごみの処理も残る。生活再建に向けて求められる情報は日に日に変わるが、1日も早い再建を後押しできるよう、詳細に情報提供を続けたい。

 

 同時に真備町地区では亡くなった方の9割が65歳以上の高齢者だったことも重く受け止めている。平屋から出られなかった人、二階があっても足が悪くて上がれないまま命を落とした人もいる。高齢者をどう助ければいいのか、検証を急ぎたい。

 

 「災害のない晴れの国」が岡山県民の自慢だった。しかし、その過信が油断につながっていたかもしれない。天の恵み頼みは許されない。災害に強い地域をつくり、防災に対する県民意識を改革しなければならない。その一翼を担う責任が私たちにもある。

 

おかざき・しんじ▼1983年入社 政治部長 報道本部長などを経て 2017年6月から現職

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