2025年03月28日 14:00 〜 15:00 10階ホール
ルクムエナ・センダ駐日コンゴ民主共和国大使 会見

会見メモ

ルクムエナ・センダ駐日コンゴ民主共和国大使が登壇した。

反武装勢力「M23」と内戦と隣国ルワンダとの紛争問題について、その背景にあるコンゴ東部の豊かな鉱物資源や日本との関係性も含め説明した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 長井鞠子 サイマル・インターナショナル


会見リポート

「国際社会全体で話し合いを」

千葉 佳奈子 (時事通信社外信部)

 政府軍と反政府勢力「3月23日運動(M23)」との間の武力衝突が激化しているコンゴ民主共和国。ルクムエナ・センダ駐日大使は、現状を説明するために自ら会見を開くことを申し出たといい、紛争について「アフリカだけの問題ではなく、国際社会全体で話し合わなければならない」と、解決に向けて日本を含む多国間の協力を訴えた。

 「わが国で発生した紛争は民族の戦争ではない」―。センダ大使はこう切り出し、豊富な鉱物資源を有するコンゴ民主共和国の開発の歴史に触れた。同国はゴムをはじめ、携帯電話やパソコンなどの電子製品に使用されるタンタル、リチウムイオン電池の材料などとして知られるコバルトを産出する。大使はこの貴重な資源を巡り「経済戦争」が起きていると指摘する。

 国連は2月、東部で激化した紛争で約700人が死亡したと明かした。隣国ルワンダがM23に協力しているとの指摘もあり、国連は軍事支援の中止とコンゴ領内からの撤退を求めた。大使は「ルワンダは鉱物資源の権益を狙って反乱軍を支援している」と非難。さらに、鉱物資源の権益については輸入国を含むルワンダ以外の国々も関与していると示唆し、「代理戦争の側面もある」と主張した。

 紛争を巡ってはコンゴ、ルワンダ両国の首脳が3月、カタールの首都ドーハで直接交渉を行った。こうした動きについてセンダ大使は、紛争終結への「希望が見えている」と期待を示す。さらに、日本については「長きにわたる平和という英知を持っている」と訴え、紛争解決への貢献を呼び掛けた。

 われわれの生活に欠かせない物品の原材料となる鉱物資源を巡る紛争は、コンゴ民主共和国以外でも勃発している。日本からは距離的に遠い地であり、人ごとのように考えがちではあるが、他国の紛争という認識ではなく自分事として関心を持たなければならないと感じた。


ゲスト / Guest

  • ルクムエナ・センダ / LUKUMWENA Nsenda

    駐日コンゴ民主共和国大使 / Ambassador of Democratic Republic of the Congo to Japan

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