2025年02月20日 15:00 〜 16:00 10階ホール
ラファエル・マリアーノ・グロッシ 国際原子力機関(IAEA)事務局長 会見

会見メモ

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシ 事務局長が、今回の日本訪問の締めくくりに会見に臨んだ。

グロッシ事務局長は18~20日の予定で来日。東京電力福島第一原子力発電所や福島の原発事故で生じた除染土壌などが保管されている中間貯蔵施設を訪問したほか、今回初めて新潟県にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所を訪れた。会見の直前には石破茂首相と会談をしていた。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信社)

通訳 池田薫、佐藤雅子(サイマル・インターナショナル)

 

Video in English is here  


会見リポート

処理水監視 透明性に自信

加藤 遼也 (読売新聞社科学部)

 2月18日~20日にかけて来日した国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長が、東京電力柏崎刈羽原子力発電所や福島第1原発沖での海水のモニタリング(監視)などの現地視察を踏まえ会見を開いた。

 「ご存じのように、IAEAは柏崎刈羽原発を非常に注意深く見守ってきた」。初の視察となった柏崎刈羽原発の再稼働について問われると、グロッシ氏はこう振り返った。IAEAは昨年、東電からの要請で調査団を派遣し、テロ対策の不備について改善状況をまとめていた。安全性対策などの視察も踏まえ、グロッシ氏は「その結果に私たちは満足している」と評し、「私の考えでは、日本が決定次第、すぐに再稼働されるだろう」との認識を示した。

 福島第1原発処理水の海洋放出を巡っては、IAEAが実施する追加モニタリング調査で中国など各国の専門家が初めて原発構内のタンクからサンプルを採取する。「ある国が第3国の評価を受けることは、原子力安全の歴史で一度もなかった」とグロッシ氏は取り組みを評価。調査の透明性を懸念する意見にも言及し、「懸念を抱く国々が積極的な役割を果たし、(モニタリングについて)大きな信頼と信用を得る創造的な解決策を見いだせた」と語った。

 日本のエネルギー政策についても見解を披露した。「各国が自国のエネルギーミックスの効率的な答えを見つけなければならない」とグロッシ氏。日本政府は中長期的なエネルギー政策の指針で、再生可能エネルギーと原子力発電を「最大限活用する」と明記している。「日本のアプローチは原子力と再生可能エネルギーの相補性の観点から、多くの国が目指している方向性と一致している」と語った一方、政府が透明性を維持し、市民に情報を提供し続けることが重要であると釘を刺した。


ゲスト / Guest

  • ラファエル・マリアーノ・グロッシ / Rafael Mariano GROSSI

    国際原子力機関(IAEA)事務局長 / Director General of the International Atomic Energy Agency

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