会見リポート
2023年12月01日
15:30 〜 16:30
10階ホール
羽生善治・日本将棋連盟会長 会見
会見メモ
6月9日に日本将棋連盟の会長に就任した羽生善治氏が会見した。
会見では、藤井聡太8冠の強さや、将棋とAIについては「棋士の美意識、個性、オリジナリティーはますます大事になっていく。AIができないことを人間がどうしていくのかということが求められている」と語った。
司会 森田景史 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)
会見リポート
「何と言っても藤井八冠」
赤塚 辰浩 (日刊スポーツ新聞社文化社会部)
冒頭、「将棋界のトピックは、何と言っても藤井聡太八冠」と切り出した。日本将棋連盟会長として、27年前に当時7つあったタイトルを独占した棋士として、2023年を振り返るにはこのうえない適役だ。
「羽生の頭脳」は、スーパースター藤井の分析にフル回転。「調子が良くなさそうでもきっちりとした内容の将棋が指せる」「弱点がない。明らかに大きなミスがほとんどといってない」「先手ではテーマを掘り下げられるところまで掘り下げる」 「後手の時は相手のやりたいことを全部やらせて勝ちきる横綱相撲」
誰にも分かるようにその特長を解説してくれた。
将棋界は人工知能(AI)を使った研究が今や主流。それについても「AIのいい部分を取り入れているし、自分なりの美意識、センス、こだわり、感性も色濃く反映されている」と、藤井将棋がAIを全面的に頼っているわけではないことも明かしてくれた。
強さが抜きんでている若き八冠を誰が最初にタイトル戦で倒すか。これに「想像つかない」としたのは、正直な心境だろう。同時に「周りの棋士が触発され、全体のレベルが底上げされている」と話した。それが盤上不変の人間ドラマとして表現されれば、将棋も盛り上がる。
くしくも会見当日、新語・流行語大賞トップ10が発表された。将棋関係では「藤井八冠」ではなく、「観る将」が選ばれた。
これも藤井八冠効果。指し手や結果だけではなく、対局中に食べるおやつや「勝負メシ」と呼ばれるランチ、対局中に見せる人間くさい動作が新たなファン開拓につながった。それら全てをひっくるめ、23年の世相を反映した言葉と解釈したい。
羽生会長の「評価を受けてありがたい」と述べた感想を聞きながら、24年の将棋界はどうなるのかという興味が早くも湧いた。
ゲスト / Guest
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羽生善治
日本将棋連盟会長