2023年08月28日 13:00 〜 14:30 10階ホール
全国統一教会被害対策弁護団 会見

会見メモ

旧統一教会(世界平和統一家庭連合)による被害の救済に取り組む全国統一教会被害対策弁護団(全国世界平和統一家庭連合被害対策弁護団)から、団長の村越進さん、副団長の紀藤正樹さんと事務局次長の川井康雄さん、阿部克臣さんの4人が登壇。昨年11月の結成からこの間の取り組み、早期救済に向けいま何が求められているのか、メディアに求めることなどについて語った。

対策弁護団では旧統一教会による違法な勧誘により献金させられたなどと訴える元信者や家族など109人からの依頼を受け、計35億円余りの支払いを求め集団交渉を行ってきたが、早期救済の実現に向け、うち108人について7月31日に東京地方裁判所に民事調停を申し立てている。

 

司会 佐藤千矢子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

 

写真左から村越進さん、紀藤正樹さん、川井康雄さん、阿部克臣さん


会見リポート

解決まで報道も長距離走を

田中 裕之 (毎日新聞社デジタル報道グループ)

 安倍晋三元首相が2022年7月に銃撃された事件をきっかけに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が注目されるようになって1年が過ぎた。教団への解散命令請求や高額献金の被害者救済など残された課題はなお多い。全国統一教会被害対策弁護団の村越進団長は「被害者の中には高齢な方や生活に困窮されている方も少なくありません。何よりも早期解決が求められています」と訴えた。

 弁護団は22年11月に結成され、全都道府県で350人の弁護士が所属。これまでに109人の被害者から依頼を受け、教団側に計35億円超の損害賠償を求めてきた。教団側が献金記録の開示を拒むなど交渉は進まず、今年7月に108人分の民事調停を東京地裁に申し立てた。

 ただ、調停が順調に進む見通しは立っていない。22年12月には教団の問題を受けて不当寄付勧誘防止法が成立したが、阿部克臣弁護士は「ごく狭い範囲の法律になる。この法律で具体的に被害救済を図った事例は存じ上げません」と指摘した。

 そこで最大の焦点となるのが、政府が教団への解散命令請求を出すか否かだ。紀藤正樹弁護士は「旧統一教会の問題を解決するためには解散命令請求以外にない」と強調した。文化庁は今年8月、7回目の「質問権」に対する回答を教団から受理。請求の判断時期を巡り、水面下で情報が錯綜している。

 裁判所で解散命令が確定すれば、清算人が教団の財産を被害者に配当できる。だが、確定までに財産が別団体に移される可能性が指摘され、財産保全の法整備が急務だ。安倍元首相をはじめ保守政治家と教団との関係も総括されたとは言えない。

 川井康雄弁護士はメディアの報道が減っている状況を踏まえ、こう語った。「本質的な問題解決までは皆さんが『長距離走』で力を合わせていくことが大事だと思っています」


ゲスト / Guest

  • 村越進 / Susumu MURAKOSHI

    全国統一教会被害対策弁護団 団長、元日本弁護士連合会会長

  • 紀藤正樹 / Masaki KITO

    全国統一教会被害対策弁護団 副団長

  • 川井康雄 / Yasuo KAWAI

    全国統一教会被害対策弁護団事務局次長

  • 阿部克臣 / Katsuomi ABE

    全国統一教会被害対策弁護団事務局次長

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