2023年09月29日 14:00 〜 15:00 10階ホール
新浪剛史・経済同友会代表幹事 会見

会見メモ

新浪剛史・経済同友会代表幹事が「これからの経済財政運営と経済同友会の役割」をテーマに会見した。

新浪氏は、三菱商事の出身。ローソンの社長・会長を経て、2014年からサントリーホールディングス代表取締役社長。今年4月27日に飲料メーカーのトップとして初めて、経済同友会の代表幹事に就任した。

 

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ理事、企画委員長(日本経済新聞)

 

★ゲストの意向により事後のYouTubeでのアーカイブ配信は行いません。


会見リポート

「共助資本主義」の社会に

森 一夫 (日本経済新聞出身)

 4月に第31代経済同友会代表幹事に就任した新浪剛史氏(サントリーホールディングス社長)は、「これからの経済財政運営と経済同友会の役割」をテーマに会見に臨んだ。冒頭「今はデフレからインフレへの大きな転換点にあり、日本社会全般が大きく変わってきている点を話したい」と切り出した。

 デフレに陥る前は「欲望、野心、昔型のアニマルスピリットで皆が競争し、こうしたダイナミズムが経済を成長させた」とみる。暗転して「世界に例を見ない長いデフレ傾向により、日本は失われた30年の泥沼」を経験した。そこから抜け出す「最大の構造改革はTPP」と期待したものの、米国が加わらなかった。

 「アベノミクスは正しかった」と評価するが、「金融緩和と財政支出だけでは成長力を取り戻せない」と指摘。課題は「今のインフレを実質賃金と可処分所得の上昇を伴うまっとうなインフレ経済にできるかどうかだ」と言う。不十分ながらも賃上げができる最近の状況を「千載一遇のチャンス」ととらえる。

 これを生かすために「企業が過去の常識や同質性を改めて、新たな価値観を生むダイナミズムをいかにつくりだすかが重要」と説く。

 最後に経済同友会が提唱する「共助資本主義」を語った。理想は「政府に頼らず、民間、企業が一緒になって、個人が主役になって互いに助け合う社会」だそうだ。そのために社会課題に柔軟に取り組めるNPOを重視する。「企業が自社のパーパスに合ったNPOを応援して新しいコミュニティーをつくり、みんなが生き生きと挑戦できる社会を、経済同友会は目指す」と述べた。

 「昔の資本主義のアニマルスピリットでガンガンやったら、日本はまた格差が広がる」とも言うが、これからもアニマルスピリットそのものは必要ではないのか。

 ジャニーズ事務所についての質問には「私たち企業は、人権侵害、児童虐待などをした企業とはお付き合いできない」などと答えた。


ゲスト / Guest

  • 新浪剛史 / Takeshi NIINAMI

    経済同友会代表幹事 / Chairman, Keizai Doyukai (Japan Association of Corporate Executives)

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