2023年06月14日 14:30 〜 16:00 10階ホール
「ジャニーズ問題から考える」(1) メディアはなぜ放置したのか 喜田村洋一弁護士(ミネルバ法律事務所)

会見メモ

「ジャニーズ事務所」の創業者である故ジャニー喜多川さんによる所属タレントへの性暴力疑惑はなぜ放置されてきたのか。メディアや芸能界の構造、性暴力報道の観点から考えるシリーズの第1回として、文藝春秋が1999年に『週刊文春』でジャニー喜多川さんによる性加害問題を報じ、喜多川さんとジャニーズ事務所から名誉棄損で訴えられた裁判で、文藝春秋側代理人を務めた喜田村洋一弁護士が登壇した。

裁判の経緯を振り返るとともに、裁判により事実認定がなされたのちもメディアが沈黙を続けた理由について、自身の仮説として報道機関におけるヒエラルキー、芸能界での事象であったこと、当時のハラスメントに対する認識の低さなどの点から解説した。

 

司会 田玉恵美 日本記者クラブ会員(朝日新聞)

 


会見リポート

突き付けられた重い問い

田玉 恵美 (朝日新聞社論説委員)

 ジャニー喜多川氏による性暴力問題では、多くのメディアが長年沈黙してきたことに対しても、大きな疑念が突きつけられている。

 いわば当事者となっている日本記者クラブとしても多角的な検討を行い議論を深める必要があると考え、「ジャニーズ問題から考える」シリーズを企画した。まず登壇をお願いしたのが、約20年前に週刊文春の代理人としてジャニーズ事務所と裁判で対峙し、メディアの実情にも詳しい弁護士の喜田村洋一さんだ。

 物証のない密室での出来事を真実だと証明するために、文春の記者たちがどんな取材をしていたのか。その成果を喜田村さんらがどう評価して記事化にゴーサインを出したのか。疑惑を完全に否定していた喜多川氏から決定的な証言を引き出すため、法廷でどんな尋問を重ねたのか。こうした当時の興味深い舞台裏が子細に語られた。

 裁判に勝った喜田村さんは、これでジャニーズのあり方について他のメディアが報道するだろうと思ったが、「どのマスコミも知らん顔」。週刊誌ネタだと過小評価した/芸能界の話で一般社会とは関係がないと思い込んだ/ハラスメント=人権侵害という認識の欠如/被害者が男性(少年)だったことによる事案の軽視/他社も報じていないという横並び体質――などの認知バイアスが背景にあったのだろうと分析。ジャニーズのタレントを起用している自社に不利益が及ぶことへの懸念もあったのではないかと指摘した。

 メディアが報道すべきことを報じる。それが積もり積もって歴史ができていく。その思いを「歴史への責任」との揮毫に込めた。「強い人がいつも勝つということであれば、弁護士も報道も要らない」と厳しく警鐘を鳴らした喜田村さんの会見動画には、1週間で7万超のアクセスがあった。異例の高い数字で、ジャニーズ問題への関心の高さが改めて示された。これにどう応えていくのか、報道機関の側が問われている。


ゲスト / Guest

  • 喜田村洋一 / Yoichi KITAMURA

    弁護士(ミネルバ弁護士事務所) / Attorney-at-Law

研究テーマ:ジャニーズ問題から考える

研究会回数:1

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