2023年04月24日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「人口減少 80万人割れの衝撃」 (2) 筒井淳也・立命館大学教授

会見メモ

家族社会学、計量社会学を専門とする立命館大学教授の筒井淳也さんが、「日本における少子化対策の評価とあるべき方向性」をテーマに登壇した。

 

司会 辻本浩子 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)

 

 


会見リポート

若者支援、働き方改革が重要

南 優子 (日本経済新聞社生活情報グループシニアライター)

 日本の少子化の原因は晩婚化・未婚化による結婚減であり、若い世代が生活の将来展望を描けないことが背景にある。政府の少子化対策の検討委員を務める筒井淳也・立命館大学教授は、現状を適切に分析し、望ましい状態から「逆算」して必要な政策を考えるべきだと訴えた。重要な課題として、若者(特に独身者)対象の支援と働き方改革を挙げた。

 筒井氏は日本型雇用の特徴である「職務の内容・時間・場所の無限定性」を例に、「学生カップルが将来の結婚を考えていても、〝総合職〟で働くと住む場所も選べず、都合が悪い」と指摘した。「『ジョブ型』ではない日本の働き方で、女性が10年後、20年後、30年後のキャリアアップを確信するのは難しい」。結婚や出産などライフイベントがあっても困らず生活できる、といった安心感を若い世代が得られることが必要だと語った。

 そのためには持続的かつ総合的な政策が欠かせない。ところが日本の政治や政策は「場当たり的で、一貫性に乏しい」。出生率の「1・57ショック」、出生数100万人割れ、80万人割れ―――ショッキングな数字に反応して時の政権が政策を打ち出す「クセ」が何度も繰り返されてきた。

 結果として子育て支援が拡充されたものの、「総合的な取り組みが必要な長期課題が注目されず、ほぼほったらかしだった」ため、目立った成果は出ていない。頻繁な政権交代もなく、本来有利だったはずの与党には「責任を感じていただく必要があるのではないか」と苦言を呈した。

 個別の政策は実現可能性や予算などが議論になりやすく、メディアも熱心に報じる。政治家は〝導入〟だけで手柄としてアピールしやすい。ただ、「断片的なものに注目していると状況は改善しない」。成功例として多く引用されるフランスも「いろんな政策を矛盾なく組み合わせて効果を出している」。大局観のある問題提起が報道に求められている。

 


ゲスト / Guest

  • 筒井淳也 / Junya TSUTSUI

    立命館大学教授 / Professor, Ritsumeikan University

研究テーマ:人口減少 80万人割れの衝撃

研究会回数:2

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