会見リポート
2023年02月15日
14:00 〜 15:00
10階ホール
ラーム・エマニュエル駐日米国大使 会見
会見メモ
ラーム・エマニュエル(Rahm EMANUEL)駐日米国大使が、着任からの1年を振り返り、日米関係の展望について話した。
司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員長(日本経済新聞社)
通訳 森万純、山崎美保(いずれも駐日米国大使館)
※The video in English is here
会見リポート
秩序形成へ同盟の進化強調
北井 邦亮 (時事通信社外信部編集委員)
駐日米国大使には「型」があるとされる。日本国民に愛されたライシャワー氏に代表される「知日派」型、ライシャワー氏の前任であるマッカーサー氏のような職業外交官出身の「プロフェッショナル」型、副大統領経験者のモンデール氏をはじめとする「大物政治家」型などだ。
日米同盟は、東アジアの現状維持を目的とした「守りの同盟」から広範な自由秩序の形成を担う「打って出る同盟」に進化したと説くエマニュエル氏は、オバマ政権下で大統領首席補佐官を務めた。下院議員、シカゴ市長も経験し、オバマ政権の副大統領だったバイデン大統領とは直接話すことができる。日本が頼れる「大物」大使だ。
しかし、おうようとしたボスではない。昨年1月の着任以来、ランチの相手がいないと気が済まず、予定表は常に真っ黒だ。地下鉄で移動し市民の動向に注意を払い、合間にツイートを連投。米政界で政敵を震え上がらせたというエネルギーは今、日本の政財界要人とのパイプづくりと情報収集に向けられている。
会見では、同盟進化の持論に加え、中国への厳しい視線が際立った。気球の米領空飛行にはじまり、日韓などへの「経済的威圧」、中国当局が各国内に設けたとされる「警察署」を取り上げ、「中国が尊敬される国際社会の一員でありたいと望むなら、適切な前提にのっとって行動すべきだ」と注文を付けた。日本の果たす役割への期待の大きさは、権威主義による自由の侵食が進む国際情勢に対する危機感の裏返しだ。
ツイッターへの愛着が示すように先端技術へのこだわりが強く、火星探査を含む宇宙開発での日米協力を後押しするほか、ユダヤ系として社会的少数派に深い共感を寄せる。性的少数者(LGBTQ)の権利擁護について問われると、身を乗り出して表情を引き締め「LGBTQの人々はわれわれの家族の一員だ」と力を込めた。
ゲスト / Guest
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ラーム・エマニュエル / Rahm EMANUEL
駐日米国大使 / U.S. Ambassador to Japan